婚約破棄されたので、聖杖職人に戻ることにした
最終エピソード掲載日:2026/08/13
魔力測定値は、十一年連続でゼロ。
リリアーナの身体には、魔力が一滴も溜まらない。
この国では、それは最底辺の欠陥だった。
婚約破棄を告げられた夜、彼女は前世を思い出す。
働きすぎて倒れた、品質管理課の記憶だった。
慰謝料も名誉も要らない、と彼女は言う。
向かった先は、祖父が遺した辺境の杖工房。
そこで彼女は、自分の体質の意味を知る。
魔力が溜まらない身体は、魔力を素通りさせる。
だから杖に触れるだけで、内部の詰まりが読める。
術者は誰も、自分の杖の中を見られない。
彼女だけが、それを手のひらで測れた。
工房は一日五件で閉まる。
日没を過ぎたら、金貨百枚の依頼でも受けない。
無理をして作った物は必ず歪む、というのが彼女の理屈だった。
やがて王都で、原因不明の魔法事故が続きはじめる。
理由を言い当てられる人間は、この国にひとりしかいない。
そして彼女は、その人間だった。
工房に通う無愛想な辺境伯が、ひとつだけ譲らないものがある。
腰に提げた、ひどく歪んだ古い杖。
握りが小さすぎて、彼の手にはまるで合っていない。
なぜ彼は、それを手放さないのか。
その削り跡に、彼女はなぜ見覚えがあるのか。
リリアーナの身体には、魔力が一滴も溜まらない。
この国では、それは最底辺の欠陥だった。
婚約破棄を告げられた夜、彼女は前世を思い出す。
働きすぎて倒れた、品質管理課の記憶だった。
慰謝料も名誉も要らない、と彼女は言う。
向かった先は、祖父が遺した辺境の杖工房。
そこで彼女は、自分の体質の意味を知る。
魔力が溜まらない身体は、魔力を素通りさせる。
だから杖に触れるだけで、内部の詰まりが読める。
術者は誰も、自分の杖の中を見られない。
彼女だけが、それを手のひらで測れた。
工房は一日五件で閉まる。
日没を過ぎたら、金貨百枚の依頼でも受けない。
無理をして作った物は必ず歪む、というのが彼女の理屈だった。
やがて王都で、原因不明の魔法事故が続きはじめる。
理由を言い当てられる人間は、この国にひとりしかいない。
そして彼女は、その人間だった。
工房に通う無愛想な辺境伯が、ひとつだけ譲らないものがある。
腰に提げた、ひどく歪んだ古い杖。
握りが小さすぎて、彼の手にはまるで合っていない。
なぜ彼は、それを手放さないのか。
その削り跡に、彼女はなぜ見覚えがあるのか。
第1話 「魔力ゼロの令嬢など要らぬ」
2026/08/13 12:03
第2話 削り出しの朝
2026/08/13 12:04
第3話 無愛想な最初の客
2026/08/13 12:04
第4話 定時退社の職人
2026/08/13 12:04
第5話 誰も気づいていないこと
2026/08/13 12:04
第6話 規格外の女
2026/08/13 12:05
第7話 八歳の失敗作
2026/08/13 12:05
第8話 お断りいたします
2026/08/13 12:05
第9話 建国祭の夜
2026/08/13 12:05
第10話 私が選ぶ工房
2026/08/13 12:06