捨てられた贄姫は蛇の妖に溺愛される
最新エピソード掲載日:2026/05/28
その村にはある風習があった。年に1度、蛇の妖に生贄として捧げろ。という珍しくもない風習だ。生贄に選ばれるのは、村の中でも若く美しい女ばかり。そして今年選ばれたのは香月桔梗(こうげつききょう)という齢20歳とまだまだ未来が望める年齢の女だった。生贄の女は生贄になったと言われ、その翌日に生贄として自らその場に向かうというもの。中には森の中に入っても、逃げようとする者もいたが、皆蛇の妖に食われたと誰しもが思っている。桔梗は覚悟を決めて、死に方が決まっていると言うのなら最期くらい、自分勝手に振る舞ってもあの世で罰は当たらないだろうと思い、蛇の妖、緋桐(ひぎり)に対しても毅然とした態度で振る舞った。その時桔梗は思いもしなかった。親にすら捨てられた自分が蛇の妖に、ひたすらに重く、甘く、深く……溺れるほどに愛されることになると。