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初耳情報ばかり

とりあえず生き延びられることに少し安堵しつつ、洞窟の奥に案内される私。洞窟にしてはかなり広いし天井?もすごく高い。おそらく女性の平均身長人3人分くらいの高さだ。


「洞窟のまんまじゃ布団とかも汚れるから半年かけて家も作ったんだよ」


変なところ人間味がある。布団のこととか気にするんだ……。


「そういうの気にする派なんですね……」


「そりゃ俺様も気にすることは色々あるっつの」


雨風を凌ぐだけでは、生活するには不便だと感じたんだろうか……。それにしてもたった半年で家出来るって……。見たところ木で出来ているけど、かなり本格的だなぁ。緋桐様はもしや意外と器用?


「お前なんか失礼なこと考えてないか?」


「い、いえっ!ただ色々驚きというか……人間味があったりもするんだなぁ……と思って……」


これもこれで若干失礼な気がしたけど、きょとんとされ、「あー、なるほどな」と納得するような声を出す。


「俺様も元々は人間だったからな」


はい!?初耳なんですが!?いきなりとんでもないことを暴露されて私は驚いてつい声を失ってしまった。


「もうこうなってから……400年ほどかねぇ……」


妖は歳が容姿に出ないと言うが、ここまで出ないものだろうか……。彼の容姿はどう見ても20代後半〜30代前半の男性だ。妖っぽい部分を除けば普通の人間と大差ない見た目だ。


「だから段々新鮮味も無くなるし、1人だから出来ることも嫌でも身につくんだよなぁ、料理とか掃除とかさ」


このお方は言うことが重いのに、それを笑いながら言うので、それを笑っていいのかかなり反応に困ってしまう。元人間ということも器用なことも一般的な家事が出来ることも驚きだ。


「あとお前は夜には外に出ない方がいい、この森にゃ夜行性の動物もいるから俺様ならともかく人間なんかじゃ太刀打ち出来ないだろうからな」


それは……残念ながら否定出来ない。そりゃ妖に比べたら私は力も持たない人間だから、凶暴な獣に襲われたら待っているのは死だろう。でもここで生きていくしかないんだよね。今さら村に戻ったところで、もう私の居場所はないんだろうし。多分私はもう死んだものと思われてるでしょうし。


「朝でもあんまり遠くに行くなよ、朝でも活動してる動物や妖はいるからな」


「は、はい」


あまり自由はありそうにないけれど、ひとつ分かったことは、この森は危ないってことだろう。そう考えるとよくあそこに辿り着くまで凶暴な獣に会わなかったものだ……。もし途中に会っていたら今もう生きてないだろうと思うと、ぞっとする。


「まぁ俺様が側にいるときなら、守ってやれるから問題はないけどな」


「えっ……守ってくださるんですか……?」


突然言われてつい聞き返してしまった。私は生贄だったんだから、生きるも死ぬも関係ないから、長生きしたければ、夜に出ないこと、朝もあんまり遠くに行かないこと。という忠告だと思っていたんだけれど。


「当たり前だろ、お前はもう俺様のものだからな、俺様のもんを勝手に傷つけられでもしたら、たまったもんじゃねーからな」


そっか、生贄に選ばれた時点で私はもう緋桐様のものってことなのか。それは生きてても死んでも関係ないってことなのかな?多分暇つぶしに飽きたら食べられる気がするから生き残るために頑張ろう。


「そんでお前の部屋はこっちな、空き部屋作っておいて正解だったな」


ちゃんとそういうのもあるんだ。男女としての倫理観はあって助かった。元人間だからかな……?とりあえず妖といえど、男性と同じ部屋じゃ私が眠れそうにないから、部屋が別々でよかった。


「時折客が来たりするから空き部屋作っておいてたんだがこんな普通に役立つなんてな」


「森の長の存在でもそうやって気軽に訪ねてくる動物や妖がいるんですね」


そう言うと私の方を見て、何を言っているのか分からないと言いたげな顔をされる。私、変なことでも言ったかな?


「俺様、こんな感じだし確かに強いけど、別に森の長じゃねーし、むしろそんな奴いねーけど?お前の村ではかなり噂に尾ひれが付いてるみたいだな」


それも初耳なのですが!!ちょっと待って情報量が多くて頭が爆発しそうだ……。どこからそんな尾ひれがついたんだ……。


「だから妖狐(ようこ)白檀(びゃくだん)白狼(はくろう)伊吹(いぶき)や化け猫が来たりはするけどな」


と言われても……。どんな者なのか分からないんですが……。


「化け猫達は大体猫の姿だから気にすることはないし、伊吹は俺様と結構気が合うし、白檀は……うん、悪い奴ではない……多分」


1番最後の言葉すごく心配ですよ!?多分口ぶりからして話はするけど馬が合わないんだろう……その、白檀という妖狐は。ていうか安心させたいなら嘘でも「安全は保証できる奴」ことくらいは言ってほしい。


「あいつ時々勝負ふっかけてくるからなぁ、そこそこ強えんだよなぁ……俺も何度怪我したことか……」


勝負っていうかそれ戦闘ですよね?それを聴くと安心要素0になる代わりに、不安要素が100になりましたよ。そして情報量がかなり多い1日は過ぎていった。

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