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愛情表現

あれからまた数日……、あの日から一層緋桐様の愛情表現が激しくなった気がする。このままだと私の寿命が短くなってしまいそうだ。心拍数使いすぎて。


「桔梗〜」


「わっ、緋桐様!?」


私が本を読んでいると、後ろから緋桐様が抱きついて来た。このように突然私を抱きしめたりすることが多くなった。構ってほしい時や疲れてる時は特に。時々何もなくても抱きしめて来るときもある。


「どうしたんですか?」 


「いや、特に何も……」


今日は少し暖かいので引っ付かれると少し暑いけど、まぁ我慢できないほどではないし、緋桐様に抱きしめられるのは好きだからいいんだけど。


「……と、今日は暖かいから抱きつかれると暑いよな?」


「い、いえ……大丈夫ですけど……」


愛情表現が激しくなったってのもひとつの変化だと思うけど、もうひとつ変わったことがある。それは……。


「でも暑いだろ?」


「暑いですけど、緋桐様に抱きしめられると愛されてると実感できて……好きなので……」


私がこんな風に愛されてると実感してると言ったり、好きだと言葉にすると。


「ぐっ!可愛すぎるっ……!」


めちゃくちゃときめく。しばらく一緒にいても緋桐様のツボは中々掴めない。でもそんな何気ない一言にときめいたりする緋桐様が、私にとっては可愛らしくてたまらない。困らせたいわけではないけど、そうやって「可愛い」とか言ってもらえるのは、素直に嬉しいし、照れてる緋桐様もとても可愛らしいから。いつもの感じと違う緋桐様を見れるのは嬉しいし。


「桔梗が可愛すぎてやばい……口づけしていい?」


「ちょ……緋桐様!?んっ……」


返事する前に口づけをされる。私まだいいとは言ってないんですが!?嫌なわけではないけど、聞くならせめて返事を聴いてからしてください。と言いたいけど唇が塞がれてそんな文句も言えない。


「悪い……我慢できなかった……」


私をぎゅっと抱きしめて緋桐様は言う。本当、心臓に悪いことばかりしてくる。そんな緋桐様を憎めないのは惚れた弱みというものだろうか……?


「あー……いつか桔梗の合意なしに襲ってしまいそうなんだけど……」


「そ、それは自制してください!」


心の準備がまだの間は自制してもらうしかないのだけれど。私にはまだ経験がないから……。男性に身体を見せたことすらない。まだ見せることすら難しい。


「ははっ、嫌われたくもないし怖がらせるのも嫌だから頑張って自制するよ、まぁそれまではこれで我慢しとく」


そう言ってまた口づけをされる。彼にこれでもかと甘やかされて、駄目人間になってしまいそうだ……。


「そういえばこの森の抜けたところに町があるんだけど今度行ってみるか?」


町に?妖の緋桐様が?それ絶対騒ぎになりますよね?と考えていると緋桐様は私の考えに気づいたようで私に説明を始める。


「俺様は植物生成や浄化もできるけど、人間の姿に化けることもできる、お前が今着てる着物も俺が町で買ってきたものだしな」


この人お金をどこから仕入れてるんだろう……?そこら辺は気にしたらいけないのかな……?ていうか聞いたら答えてくれるのかな……?結構踏み込んだ問題だと思うし。


「まさか金のこととか気にしてんのか?」


「え?あ……はい……」


緋桐様って心を読む能力を持ってないのかな?たまに私が思ってることをしっかりと当ててくるので、心を読まれてるのではないかと思ってしまう。


「金のことはまた追々教えてやるよ、今はまだ秘密な」


今はまだ教えてもらえないのか……。今明かしたら驚いてしまうとかそういうことなのかな……?


「ところでよくよく思ってたんだけど……」 


「はい?」


私が首を傾げながら緋桐様の言葉に返すと、緋桐様は私の顔をじっと見てきて、言ってくる。


「お前本当に男に言い寄られたりしたことなかったのか?」


何をいきなり仰るんですか!周りは私を腫れ物のように扱ってたんですよ!?育ってきた環境が環境ですから!言い寄られるどころか必要最低限しか話してきませんでしたよ!と私が巻くし立てるように話すと、緋桐様は「落ち着け」と言って、私を落ち着かせる。


「それにしても見る目ねーな、こんなに可愛い奴なのに……あ、でも生贄に選ばれたってことは綺麗なのは間違いねーってことだから……それで言い寄んないとか人間の考えることは分かんねーわ」


私だってせめて普通に話せる人1人くらいは欲しかったですよ。そうなればあなたと会わなかったかもしれませんけど。


「俺なら絶対放っておかねーわ、お前みたいな女」


そう真っ直ぐ見られて私の鼓動は少し速くなる。そんな言葉で、眼差しで見つめられると、さすがに照れてしまうというか……。


「桔梗は本当に可愛いな、もう俺お前の虜だわ」


ぎゅっと抱きしめられて、そう言われると、それにもつい鼓動を速めてしまう私。緋桐様は言ってて恥ずかしくないのかな……?正直に好きとか可愛いとか言ってもらえるのは嬉しいけど、言われてるこっちが恥ずかしいのに言ってる方はどう思ってるんだろうか……。彼の愛情表現は激しいけど、それが嬉しいなんて、私も重症かもしれない。

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