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オレは殿さま!

作者:青星明良
さて! これから拙者が語りますのは江戸時代に実在した(マイナーすぎてだれも知らないけれど)スーパー名君・土方義苗さまの少年時代の物語でございます!
なぬ? 名前の読み方がわからない? ヒジカタ・ヨシタネでござるよ! 新選組の土方歳三とはいっさい関係ありません!

義苗さまは、13歳(今の11~12歳)。伊勢の国(三重県)・菰野(こもの)藩のお殿さまでござる。ご隠居の雄年(かつなが)さまにオモチャやお菓子を買いあたえられ、江戸の屋敷でぜいたくな暮らしをしていました。しかし、そんな若殿さまにも悩みがあったのです。

「オレは殿さまなのに、ご隠居さまが全部決めちゃうから、なんにもできない。領地の菰野に行ったらダメだとも言われている。家来たちはなぜかオレによそよそしくて、相談に乗ってくれる味方もいない。こんなんじゃ、父上と約束した『立派な殿さま』になんか、なれっこない……」

そんな一人ぼっちの若殿・義苗さまでしたが、空腹でたおれていた伊賀のくノ一・ミヤを助けたことによって大きく運命が動きだします。

「殿さま! 助けてもらったお礼に、ご隠居さまの秘密を探って来ましたです!」
「ええ⁉ ご隠居さまがぜいたくしすぎたせいで、菰野藩には9800両の借金があって破産寸前だってぇ~⁉」

自分の領地がいったいどうなっているのか激しく気になった義苗さまは、くノ一ミヤ、家庭教師の南川先生とともにこっそり江戸をぬけだして、伊勢の国へと旅立つのでした。
しかし、菰野藩のことをなぜか目の敵にしている老中・松平定信さまも、同じタイミングで菰野藩を陥れるために隠密を送りこんでいて――。
義苗さまは、吹けば飛ぶような弱小藩・菰野藩を松平定信さまの陰謀から果たして守ることができるのでしょうか……⁉


これは、一人ぼっちでヤル気のない少年だった義苗さまが、「人を愛し、人に愛される、立派な殿さま」へと成長していく名君誕生の物語でござる!
どうか最後までお付き合いのほどよろしくお願いいたしまするぅ~!


(え? ところでおまえはだれだって? 拙者はただの物語の語り手でござる。別に気にしないでくだされ……)
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