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人類最後の地 Ⅳ共存の地

作者:島石浩司
最新エピソード掲載日:2026/06/22
 カナクの状況報告を受けたノード政府は既にカナク警備隊の完全撤退命令を出していた。警備隊はサラルが襲撃してこない昼間のうちにカナクから撤退する事になり、三隻の船に死傷者も含めた隊員五百名と十数台のユニコーン型ロボを乗せてカナクの港を離れる事になった。隊員達が乗り込んだ船からは、遠ざかっていくカナクのドーム群と港に取り残された4台の警備ロボットの姿が見えた。警備隊員達が去った後も、4台の警備ロボットは無人となったカナクの港を守り、サラルと戦い続けた。そして最後の1台が燃料バッテリー切れになるまで戦い続けた後、サラルの槍により破壊され機能を停止した。

 ドローンの調査では、カナク撤退以降、島を占拠するサラルの数は5万匹を遥かに超え、サラルの群れがノードに近い山岳地帯にも進出してきている状況が見られた。いずれ数万匹のサラルがノードに押し寄せて来る事が予想された。生き残りの人類として、ノードから撤退するという選択は有り得なかった。西の大陸にも東の大陸にもサラルが満ちている。しかも、この地より南の大陸は植物の育たない熱暑の地であり、この地より北にある小さな島々では人々が生き残る事は出来ない。人類の未来はノードの存続にかかっていた。

 この島の気候は、冬の数か月を除いては相変わらず人類の生活に適したものとは言えなかった。しかし近年はわずかではあるが気温が低下している兆候が見られ、ノードのドーム周辺では砂糖きびやパイナップルなどの作物の周りに白い花をつける雑草が育つ光景が見られた。ドームの北側の海岸沿いの砂浜には数百本のヤシの木が立ち並び、その向こうには白い雲が浮かぶ空の下、青く輝く北極海が穏やかに広がっていた。
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