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第9話 ピラミッド要塞P3  (2616)

 ピラミッド要塞P2の完成から6年後、新たなピラミッド要塞P3が完成した。第3ピラミッド要塞P3に配備される新たな警備隊員が組織された。マテオ隊長を始めとする警備隊の幹部達は、25歳の若いライラに期待し新しいピラミッド要塞P3の隊長への就任を要請した。18歳の入隊から7年にわたりピラミッド要塞P2で警備隊員の任務に着いていたライラは隊員達から信頼を受け、実際には隊長ではなかったが既に「ライラ隊長」と呼ばれ人望を集めていた。


 新しく召集されたP3の警備隊員120名が出席する中、ライラのピラミッド要塞P3へ

の隊長就任式が執り行われた。マテオ隊長はライラにピラミッド要塞P3への隊長就任状を贈呈し、

「キミの統率能力は素晴らしい。これからはピラミッド要塞P3の隊長として任務に励んでほしい」

と祝辞を述べた。隊員たちから歓声が上がり、ライラは

「任せてください!でも、これもみんなのお蔭です!みんなついて来て、カモーン!」

と笑顔で答えた。

 ライラ隊長の決め台詞を聞いた隊員達から前に倍する大歓声が上がり、マテオ隊長でさえ「ついて行きたい」と思ったほどだった。

 P1から見るとP2は北西方向2百メートルにはっきり目視できる位置にあり、P1とP2は互いに絶好の射程距離にあった。同様にP2から見るとP3は北西方向2百メートルの目視できる互いに絶好の射程距離にあった。


 サラルは、夜間や悪天候をついて様々な方角からP1~P3のピラミッド要塞に槍攻撃を仕掛けてきた。しかし、サラルの槍攻撃はぶ厚いコンクリート要塞の防御を破る事が出来ず、侵入して来るサラルは要塞を守るユニコーン型ロボや警備隊員の猛射撃を受け、多くの被害を出して退散する事を繰り返していた。ピラミッド要塞P1~P3はその防御力を遺憾なく発揮していた。サラルは繰り返しピラミッド要塞に近付き攻撃したがP1P2P3の三要塞の連携効果は絶大で、南から来襲するサラルの群れを余裕で撃退し続けた。


 ノードでは万一の事態に備えて地下施設と地下トンネルの建設工事が続いていた。電力を節減するため、作業員たちが相変わらず人力でツルハシやスコップを使って地盤を掘り進め、鉄筋とコンクリートで上部と側面を補強する作業を続けていた。


 それ以降も毎年、サラルの群れは繰り返しピラミッド要塞に近付き攻撃したがP1P2P3の三要塞は来襲するサラルの群れを撃退し続けていた。年々数を増していくサラルも3つのピラミッド要塞を超える事が出来ず、ノードのドームに近付くことが出来ない状況が続いていた。


 ライラはP3の隊長として相変わらず部下の隊員達から絶賛されていた。

「みんな、今日も一日頑張るのよ、カモーン!」

声を掛けられた隊員達は一様に笑顔になり、

「わかりました、ライラ隊長!」と声を揃えた。ピラミッド要塞P1~P3のなかでも、ライラ隊長の指揮するP3は大人気で、P3の隊員になりたいという入隊志願者が多かった。


 ノードでは十年の歳月を経て七つの巨大ドームの地下に避難所と連絡通路が完成した。その後ノードを守るための地下建設は続き、網の目状に隊員の居住区、武器弾薬の貯蔵庫、修理工場が建設される事になる。これらの地下施設は、万一サラルが地下に侵入したとしても、低い天井で飛べないサラルを迎え撃つ事になり、いわばサラルの「飛ぶ」という優位性を無くすという利点があると考えられた。サラルの槍攻撃も地下では限定的になると考えられた。


 巨大ドーム群とドラ山を地下の通路でつなぐという案も浮上し、ドーム地下から西5キロのドラ山に向けて地下トンネルが建設される事になった。この地下トンネルは高さ2メートル幅5メートルでユニコーン型ロボや隊員達が乗ったジープが素早く通行でき、ドームとドラ山の人と物資の移動を円滑にし、ドラ山の発電施設とその海側の港への移動を確保する事が目的だった。


 建設作業員として十数年のキャリアを持つベテランになった双子のアランとマシューも地下トンネル建設に作業員として参加し、二人の連携で十人分の働きをする優秀な作業員として認められていた。

「すごいな、この地下トンネルをドラ山まで造るのか」

「こんな頑丈な地下トンネルがあるとノードも安心だな」

「この地下トンネル、何時までかかるか分らんがしっかり働こうぜ!」

「ライラは第3ピラミッド要塞の隊長になって頑張っているらしい」

「ライラはオレたちと初めて会った時からピラミッド要塞に行ってみたいと言ってたからな」

「トンネル工事が終わったら、ぜひライラ隊長の下で働きたいもんだ!」

「ライラ隊長に、みんなついて来て、カモーンと言われたらみんなついて行くだろ?」

 地下トンネルに二人の笑い声が響いた。

「イレーネに行ったジュリアとロビンは子供が3人できたそうだ」

「イレーネではサラルパークというのが出来て、サラルを餌付けしているらしい」

「サラルを餌付けするなんてできる訳がない!」

「ジュリアとロビンたちは大丈夫かな」

「サラルどもがジュリアとロビンに何かしたらライラが黙っていないだろ!」

「おれ達も黙っていないけどな!しかしジュリアとロビンもノードに戻って来ればいいのにな」

 このころノードには、イレーネの状況について様々な情報が伝えられていたが、ノードの若者たちの中には、何時までも続く地下施設建設にいや気がさしてイレーネに移住しようとする者もいた。

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