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『“映える女”に婚約者を奪われました。でも、その男の成功、全部わたしの企画です』 SNSの数字しか信じない二人に、“本当の価値”を教えてあげる。

作者:かおるこ
最終エピソード掲載日:2026/05/16
夕暮れのスーパーで、
値引きシールの貼られた小松菜を選ぶ。

誰にも褒められない指先で、
豆腐を切り、
味噌を溶き、
明日のために米を研ぐ。

それを彼は、
「地味だ」と笑った。

画面の向こうでは、
光るネイル、
高級ホテル、
薄いグラスの泡。

“映え”だけを食べて生きる人たち。

フォロワー三十万人。
数字は拍手の代わり。
中身のない言葉でも、
綺麗に加工すれば「成功者」になれた。

わたしの企画。
わたしの時間。
わたしの努力。
わたしの静かな夜。

全部、
あなたの「才能」になっていた。

でもね。

本当に人を支えるのは、
映る料理じゃない。

安い鶏むね肉でも、
炊きたてのご飯でも、
疲れた夜の味噌汁でも、
ちゃんと誰かを生かせる。

生活は、嘘をつかない。

あなたは最後まで、
「見せること」しか知らなかった。

冷蔵庫を空っぽにしたまま、
人生まで空っぽにした。

炎上の光に焼かれて、
拍手は罵声へ変わる。

フォロワーが減る音。
ブランドが離れる音。
虚像が崩れる音。

その全部を聞きながら、
わたしは静かに帰宅する。

鍋の蓋を開ける。
湯気が立つ。

ただそれだけで、
少し泣きそうになる。

“本当の価値”は、
誰かに見せるためじゃなく、

明日もちゃんと、
生きていくためにあるのだから。

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