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『嘘の標的は笑わない』

作者:かおるこ
最終エピソード掲載日:2026/08/06
悪徳巨大製薬会社の会長・富岡宗一郎が、自宅の密室で不可解な死を遂げた。外傷も毒物反応もなく、死因は持病による不整脈。だが、机には奇妙な言葉が残されていた。

「薬が切れた。私は呪われて死ぬ」

富岡の死を設計したのは、犯罪心理学と行動経済学に精通する神崎涼。彼は毒も凶器も使わず、「この薬がなければ死ぬ」という思い込みだけを富岡の心へ植えつけていた。

やがて、富岡の追悼式に集まった製薬会社の幹部たちにも“呪い”が広がり始める。白い薬への恐怖、罪を暴かれる不安、仲間に裏切られる疑念。かつて不正を隠蔽してきた者たちは、互いを疑い、自ら築いた巨大企業を内側から崩壊させていく。

父を富岡に奪われた津田栄美は、その光景を復讐の成就として見届けようとする。一方、捜査一課の草壁修司は、証拠の残らない神崎の心理操作へ迫っていく。

しかし、神崎の仕掛けた「嘘の標的」は、富岡だけではなかった。

プラシーボ、ノーシーボ、確証バイアス――人間を殺すのに、本当に毒は必要なのか。信じたい嘘が凶器へ変わる、現代心理クライムサスペンス。

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