鉄の墓場―コイツはまだ死んでない―
最新エピソード掲載日:2026/07/13
旧車専門ライターの相沢ミカ、二十九歳。取材で追っていた「幻のハコスカGT-R」の写真に、幼い頃の自分と祖父が写っていた。
祖父は元レーシングドライバー。十年前に他界した。一度もあの車の話をしなかった。
手がかりを辿り着いた先は、群馬県の山間にある解体屋だった。
村上修、七十歳。無口で目が鋭い。訪問者を歓迎しない男。しかし写真を見せた瞬間、動きが止まった。
「お前、誰だ」
村上はかつて、あのハコスカのS20エンジンを組んだ男だった。チームのみんなは死んだ。パーツは売った。しかしフレームだけは手放せなかった。内側に彫られた文字があったから。
「相沢健一」
祖父の名前だった。
村上は五年かけて、売ったパーツを一人で買い戻していた。誰にも言わずに。ただ、コイツを起こすために。
昭和四十七年、幻のレースで勝った一台のハコスカ。記録には残っていない。でも走った。そして令和に、また息を吹き返そうとしていた。
祖父は元レーシングドライバー。十年前に他界した。一度もあの車の話をしなかった。
手がかりを辿り着いた先は、群馬県の山間にある解体屋だった。
村上修、七十歳。無口で目が鋭い。訪問者を歓迎しない男。しかし写真を見せた瞬間、動きが止まった。
「お前、誰だ」
村上はかつて、あのハコスカのS20エンジンを組んだ男だった。チームのみんなは死んだ。パーツは売った。しかしフレームだけは手放せなかった。内側に彫られた文字があったから。
「相沢健一」
祖父の名前だった。
村上は五年かけて、売ったパーツを一人で買い戻していた。誰にも言わずに。ただ、コイツを起こすために。
昭和四十七年、幻のレースで勝った一台のハコスカ。記録には残っていない。でも走った。そして令和に、また息を吹き返そうとしていた。
第一話 写真の中のハコスカ
2026/07/04 09:39
第二話 村上修とハコスカ
2026/07/05 08:44
第三話 昭和のハコスカ
2026/07/06 11:30
第四話 平成のハコスカ
2026/07/07 11:41
第五話 パーツを探す男
2026/07/09 11:56
第六話 S20の声
2026/07/09 11:57
第七話 エンジンが戻る日
2026/07/10 11:43
第八話 フレームの名前
2026/07/11 19:56
第九話 組み上がるまで
2026/07/12 09:54
第十話 タイヤと息吹《いぶき》
2026/07/13 10:36