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帰る空~桜舞う記憶~

作者:雨宮ぐみ
最終エピソード掲載日:2026/08/24
『帰る空』あらすじ

高校二年生の神谷望桜は、家族旅行で訪れた知覧特攻平和会館で、一枚の手紙と一人の整備兵・森本清志の写真に強く心を揺さぶられる。展示を見た帰り、突然意識を失った彼女が目を覚ますと、そこは昭和二十年(1945年)。三歳の少女・桐生桜子として生まれ変わっていた。

前世の記憶を持つ桜子は、飛行学校を目指す兄・誠司が戦争で命を落とす未来を知っている。幼い体で未来を語っても信じてもらえない彼女は、柿の木の落下や橋の崩落を予知して家族や村人を救い、少しずつ「桜子の言葉は当たる」と信頼を得ていく。そして何度も兄へ「帰って」と伝え続けることで、誠司の夢を「戦うために飛ぶ」から「帰るために飛ぶ」へと変えていく。

やがて知覧で整備兵・森本清志と出会った桜子は、「飛行機は人を帰すために飛ぶ日が来る」という彼の願いを知る。さらに、父・勝の弟で戦争に翻弄された青年設計士・桐生隼人の存在と、「帰る人を増やしてほしい」という彼の遺志が明らかになる。終戦を迎えた後、誠司と森本は人を運ぶ飛行機を目指す「さくら計画」を進め、家族は知覧に若者たちの想いを残す「平和の家」を築き、手紙や設計図を未来へ託していく。

長い人生を生き抜いた桐生桜子は、やがて再び令和へ戻り、高校生・神谷望桜として知覧特攻平和会館を訪れる。展示ケースには、かつて昭和の自分が書いた「帰る人を迎える家になりますように」という一文が本当に残されていた。望桜は、自分が受け取った約束を今度は未来へつなぐため、学校で平和について語り始める。

「帰る空」とは、戦争を忘れないための物語であると同時に、家族のもとへ帰る願い、人から人へ受け継がれる優しさ、そして平和な空を未来へつないでいく約束を描いた、時代を超える感動の長編小説である。
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