↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

水神の花嫁は、雨を降らせない ~日照り40日で娘を井戸に下ろす村に、調査員として来てしまった~

作者:中原九尾
最終エピソード掲載日:2026/10/12
「澄ちゃんは、果報者だ」
村の誰もが、笑顔でそう言う。

梅雨明けから、一滴の雨も降らない夏。
県の嘱託職員・水野湊は、5年後にダムの底へ沈む山村「澪村」へ、民俗調査にやってきた。

村人たちは親切だった。野菜を持たせ、車に乗せ、よそ者の湊を温かく迎えてくれる。
ただひとつ、池のほとりの神社に立つ黒板だけが、湊の目に焼きついた。

『日照り 15日』
『40日にて、嫁入り』

日照りが40日続いたら、神社の娘を「水神の花嫁」として、井戸の底へ下ろす。
そうすれば、雨が降る。
下ろされた花嫁は、二度と帰ってこない。

今年の花嫁は、宮司の娘・水上澄、19歳。
よく笑い、村の子どもに慕われ、自分の運命を「すごいことでしょう」と受け入れている少女だった。

古い台帳に並ぶ、歴代の花嫁たちの名前。
花嫁が逃げた年に、池で溺れた3人の子ども。
夜ごと井戸の底から聞こえてくる、女たちの歌声。
そして、干上がった池の泥に残る、小さな裸足の足跡。

かつて妹の手を離してしまった湊は、今度こそ、澄の手を離さないと決める。
けれど澄には、逃げられない理由があった。

黒板の数字は、毎朝ひとつずつ増えていく。
40日目の夜、白無垢の澄は井戸の前に立つ。

優しい村人たちと、雨を降らせない水神。
井戸の底で待っているのは、神か、それとも――。

因習の村で出会った、ひと夏の和風ホラー。

※全10話・完結まで毎日更新します。
※他サイトでも同時掲載しています。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。