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家族を演じる人々

作者:ぽむぽむ
最終エピソード掲載日:2026/10/19
余命半年を宣告された実業家・御影源一郎は、家族代行サービスを通じて、妻、長男、長女、孫を演じる四人を屋敷へ迎える。長女役の小野寺美羽は、幼い娘を育てるシングルマザー。妻役の沙織は舞台を離れた元女優、長男役の圭介は借金を抱える俳優、孫役の湊は母の入院中、居場所を求める少年だった。それぞれの事情を隠して始まった共同生活は、食卓を囲み、病む老人を支える日々の中で、契約には書かれていない温もりを帯びていく。

だが、源一郎の死後、総資産約三百億円の半分を四人に遺す遺言が明らかになり、実子の隆史が異議を唱える。調査が進むにつれ、沙織の劇場を奪った過去、圭介の父が命を落とした事故の隠蔽、そして美羽の母と御影家の因縁が浮かび上がる。美羽は隆史の娘だった。さらに、四人の出会いそのものが、源一郎によって仕組まれていたと判明する。

償いのために用意された「家族の台本」。その存在は、彼らが育んだ感情まで偽物だったのかという疑いを生む。湊が残した録音も、大人たちの思惑によって利用され、互いへの信頼は揺らいでいく。

遺言の有効性を争う裁判の中で、彼らは源一郎の過ちと、自らの裏切りに向き合う。判決によって遺言は有効と認められるが、それだけで傷が癒えるわけではない。遺された財産の使い道も、誰を許すかも、それぞれが選び直していく。やがて沙織たちは劇場を再開し、隆史も食卓に加わる。故人の望んだ役を演じるのではなく、自分の名前で、会いたい人のもとへ帰る。偽りから始まった暮らしは、不揃いなまま続いていく家族の時間へと変わっていく。
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