告白練習ノートの「相手役」が、なぜか全部俺です ~九回は台本どおり。十回目だけ、台本がない~
最新エピソード掲載日:2026/08/15
「――練習相手に、なってくれない?」
全国大会を狙う演劇部の看板役者・汐見詠から、告白場面の稽古を頼まれた。
俺は放送部の音響係だ。声を出す側じゃない。録る側の人間である。
渡されたのは、十編入りの『告白練習ノート』。
海辺。保健室。駅のホーム。雨の昇降口――
場所も、時刻も、演じる感情も、一編ずつ違う。
違わないのは、〈相手役〉の欄だけだった。
一編目、高瀬律。
二編目、高瀬律。
……読めるページは、全部、俺の名前。
十編目だけ、輪ゴムで留めてある。
「キミがね、一番演技しやすいんだ」
彼女はそう言って笑う。
じゃあ、どうして稽古の途中で、台本にない台詞が混ざる?
どうして彼女は、三年前に俺が言った一言を、俺の言い方のまま返してくる?
演出の先輩が決めた稽古の則は、五つ。
――一編一回。撮り直しはしない。
――切ったら、稽古場の外へ持ち出さない。
嘘の告白を重ねるほど、本音が一段ずつ近づいてくる。
甘くて、痛くて、逃げ場のないリハーサルが始まる。
全国大会を狙う演劇部の看板役者・汐見詠から、告白場面の稽古を頼まれた。
俺は放送部の音響係だ。声を出す側じゃない。録る側の人間である。
渡されたのは、十編入りの『告白練習ノート』。
海辺。保健室。駅のホーム。雨の昇降口――
場所も、時刻も、演じる感情も、一編ずつ違う。
違わないのは、〈相手役〉の欄だけだった。
一編目、高瀬律。
二編目、高瀬律。
……読めるページは、全部、俺の名前。
十編目だけ、輪ゴムで留めてある。
「キミがね、一番演技しやすいんだ」
彼女はそう言って笑う。
じゃあ、どうして稽古の途中で、台本にない台詞が混ざる?
どうして彼女は、三年前に俺が言った一言を、俺の言い方のまま返してくる?
演出の先輩が決めた稽古の則は、五つ。
――一編一回。撮り直しはしない。
――切ったら、稽古場の外へ持ち出さない。
嘘の告白を重ねるほど、本音が一段ずつ近づいてくる。
甘くて、痛くて、逃げ場のないリハーサルが始まる。
1. 相手役は、なぜか全部俺だった
2026/08/11 10:45
(改)
2. 嘘の告白は、上手いほうが負ける
2026/08/11 15:10
(改)
3. 別れの台詞で、なぜか本当に泣く
2026/08/11 21:27
(改)
4. 謝罪の場面で、俺は謝る側じゃなかった
2026/08/12 12:22
(改)
5. 嫉妬の稽古が、稽古じゃなくなる
2026/08/12 17:30
(改)
6. 他人の告白なら、俺はいくらでも言える
2026/08/13 08:36
(改)
7. 断られる練習が、いちばん上手くいく
2026/08/13 23:31
8. 何も言わない台本が、いちばん長い
2026/08/14 08:10
9. 過去形で言われると、なぜか現在形で刺さる
2026/08/14 21:37
10. 十編目は……
2026/08/15 08:10