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未練を捨てた私のほどけない愛

作者:月雅
最終エピソード掲載日:2026/11/07
差し出された婚約の証を、私は迷いなく屑籠へと落とした。

どれほど誠実に針を走らせても、誰からも正当に認められることはありませんでした。
妹の涙と言葉だけが信じられる場所で、私には弁明する気力すら残っていなかったのです。
理不尽な家も地位もすべて手放し、私は冷たい雨の降る街へと歩き出しました。

行き場を失った私の前に現れたのは、夜の街を束ねる美貌の主でした。
彼が真っ直ぐに求めたのは、かつて奪われ続けた私の手仕事でした。
布の上に幾何学の結び目を重ね、触れる者を癒やす奇跡を宿す加護の刺繍。
前世の記憶を頼りに紡ぎ出すその糸は、暗い街の片隅に確かな光を灯していきます。
凍え切っていた私の指先を包み込むのは、驚くほど深く一途な彼の熱情でした。

すべてを見限り、己の腕だけを信じて選んだ道の先に、どのような居場所が待っているのでしょうか。
頑なに閉ざされた私の心を溶かすその温もりは、果たして私をどこへ導くのでしょうか。
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