「放っておけないんだ」と仰るあなたを、私は放っておきます
最終エピソード掲載日:2026/05/17
四年で五回。
それが、わたくしが婚約者の隣に座れた回数。
王宮の茶会を整え、贈答を整え、夜会の席次を整えてきた侯爵令嬢ジゼル。
その隣の席は、いつも幼なじみのご令嬢に譲られていた。
「放っておけないんだ、彼女のことは」。
そう繰り返す婚約者の言葉に、わたくしは四年、頷き続けた。
けれど、婚約四周年の記念夜会。
三度目の同じお願いを聞いたとき、足が動かなくなった。
「では、わたくしも、放っておきますね」。
それは誰にも届かない呟き。
ただ、わたくし自身に届いた、四年で最初の言葉だった。
降りる、と決めた翌朝。
王妃陛下は、たった一言で受理してくださった。
そして、隣国の王弟殿下が、王宮の回廊で従者に告げる。
「あの方の通り道を、空けるように」。
二年前から、あの方は何をご覧になっていたのか。
整え手としてではない、わたくしを、誰が見ていたのか。
それが、わたくしが婚約者の隣に座れた回数。
王宮の茶会を整え、贈答を整え、夜会の席次を整えてきた侯爵令嬢ジゼル。
その隣の席は、いつも幼なじみのご令嬢に譲られていた。
「放っておけないんだ、彼女のことは」。
そう繰り返す婚約者の言葉に、わたくしは四年、頷き続けた。
けれど、婚約四周年の記念夜会。
三度目の同じお願いを聞いたとき、足が動かなくなった。
「では、わたくしも、放っておきますね」。
それは誰にも届かない呟き。
ただ、わたくし自身に届いた、四年で最初の言葉だった。
降りる、と決めた翌朝。
王妃陛下は、たった一言で受理してくださった。
そして、隣国の王弟殿下が、王宮の回廊で従者に告げる。
「あの方の通り道を、空けるように」。
二年前から、あの方は何をご覧になっていたのか。
整え手としてではない、わたくしを、誰が見ていたのか。
第1話 三度目の「席を譲ってくれないか」
2026/05/17 11:56
第2話 「分かりました。受理します」
2026/05/17 11:56
第3話 「分かっていたからこそ、降りるのです」
2026/05/17 11:56
第4話 空いた隣席と、ご招待状
2026/05/17 11:56
第5話 あなたという人物に、お越しいただきたい
2026/05/17 11:56
第6話 席次表の間違い
2026/05/17 11:56
第7話 「昔から私が一番なんです」
2026/05/17 11:56
第8話 王妃の叱責
2026/05/17 11:56
第9話 「お引き取りくださいませ、もう一度だけ」
2026/05/17 11:57
第10話 「あなたが整えた茶会を、私は忘れません」
2026/05/17 11:57