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私の役目は終了しましたので、どうぞお幸せに!

作者:月雅
最終エピソード掲載日:2026/11/05
夜会の広間に響いた婚約の解消宣告に、込み上げてきたのは涙ではなく心からの安堵だった。

幼い頃から感情を殺し、ただ求められる役割を果たすためだけに生きてきた。
誰かの都合で悪者に仕立て上げられ、背負わされた重荷を下ろせるのなら、北の果てへの追放すら願ってもない好機に思えた。

凍てつく吹雪の地で待っていたのは、冷酷と恐れられる辺境伯の鋭い視線。
それでも、古い工房に残された耐火窯の熱と、灰汁で不純物を抜いて吹き上げるガラスの透明な輝き、雪の下に眠る薬草の香りは、冷え切っていた心を静かに解き放っていく。

警戒されていたはずの距離が、いつしか不器用な温もりに変わるとき。
役目を終えて笑顔で去った少女は、凍てつく氷の城でどんな居場所を見つけるのだろうか。
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