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木漏れ日の嘘

作者:reika1021
最終エピソード掲載日:2026/07/31
春を迎えた東京で街路樹を守る仕事に就く樹守雫葉は、同期の朝凪伊吹とともに木々の命と向き合う毎日を送っていた。

大きなケヤキとの別れをきっかけに、雨に濡れる枝、夏の木陰、秋に色づく葉、冬の剪定へと季節が巡る中、胸の奥にしまい続けていた想いが静かに揺り動かされていく。

失われた景色を悼みながらも、新しい命を植え育てる手は未来を諦めない。木々の息づかいに寄り添う時間のなかで、笑顔の奥に隠してきた恋は沈黙や視線のぬくもりに通じて、少しずつ形を成していく。

やがて若葉が春風に揺れるころ、長く言葉にできなかった想いは静かな告白となる。失った景色を忘れることなく抱きしめたまま歩き出した心には、新しい季節が静かに息づいていた。

街に根を張る若木のように、その恋もまたゆっくりと育っていく。昨日までの痛みさえも、未来を支える根に変えながら、穏やかな春の光の中で確かな一歩を刻んでいく。そして、そのぬくもりが街の風景に静かに溶け込み、季節とともに育ち続けていく。
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