表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『砂塵のドレスと魔法の導水路 ~追放されたインフラ魔導士、最果ての砂漠で至高のランウェイを築く~』

作者:かおるこ
最終エピソード掲載日:2026/05/15
砂に埋もれた国だった。
風は熱を運び、
人は希望を失い、
空でさえ乾ききっていた。

誰も彼女を覚えていない。
帝国の地下で、
破れた水路を縫い、
崩れる壁を繕っていた少女を。

「戦えぬ魔導士に価値はない」

その言葉ひとつで、
彼女は国ごと捨てられた。

けれど――
彼女の指先は、
誰かを傷つけるためではなく、
誰かを生かすためにあった。

砂漠の夜。
冷え切った子供の肩へ、
温度を編み込んだ布をかける。

灼熱の昼。
働く女たちの肌を守るように、
砂を弾く衣を仕立てる。

水なき大地には導水路を。
絶望した街には灯りを。
そして人々には、
「自分は美しく生きていいのだ」と思える服を。

彼女が縫っていたのは、
ドレスではない。

明日だった。

やがて砂の国に、
色彩が戻る。

青いターバンが風を受け、
黄金のベールが陽光を踊らせ、
星空を映すドレスが夜を照らす。

滅びを待つだけだった王国は、
いつしか世界で最も眩しい国になった。

追放された魔導士はもう、
誰かの裏方ではない。

人を守るための美しさを知る、
国家の設計者。

砂塵の彼方、
今日も彼女は針を持つ。

誰も取り残さない未来を、
この世界へ縫い付けるために。

ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ