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『「君のような無能は追放だ」と言われたので辺境へ行ったら、人々に寄り添うたびに神級ポーションが大バズりしていました』

作者:かおるこ
最新エピソード掲載日:2026/05/30
無能だと告げられた朝

鐘の音は冷たく響き

石畳に落ちた影は

少しだけ長かった

誰より早く起き

誰より遅く眠り

言われた仕事をこなしても

誰の心にも届かなかった

だから追放された

そう思っていた

辺境の風は優しかった

痩せた畑

古びた井戸

ひび割れた家々

けれどそこには

数字にならない人々がいた

昔話を何度も繰り返す老人

夜になると泣く孤児

疲れた顔で笑う母親

不作に肩を落とす農夫

ルークは最初

何をしたらいいか分からなかった

祈ればいいのか

薬を作ればいいのか

答えはもっと小さなところにあった

話を聞くこと

隣に座ること

一緒に食事をすること

名前を覚えること

誰かの涙を見過ごさないこと

すると不思議なことが起きた

ポーションが輝き始めた

疲れた人には力を

眠れぬ人には安らぎを

傷ついた人には癒やしを

飲む人が本当に必要とするものを

そっと届けるようになった

王都は騒いだ

奇跡の薬だと

神級ポーションだと

大バズりだと

けれどルークは知っていた

奇跡は瓶の中にはない

老人の笑顔の中にある

子供の笑い声の中にある

誰かを大切に思う心の中にある

愛は育つ

寄り添うたびに

親切は育つ

手を差し伸べるたびに

喜びは育つ

誰かと分かち合うたびに

そして霊の実は

静かに実る

誰も見ていない場所で

神が見ておられる場所で

追放された青年は

気づいていなかった

本当に神が祝福されたのは

ポーションではなく

人を愛そうとする

その歩みだったことを
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