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『カスク(犬の子)と呼ばれた男 〜十三湊から北樺太へ、漂流転生記〜』

作者:山田村
最新エピソード掲載日:2026/10/27
仁治元年。安東貞季の次男として生まれた千代丸には、誰にも言えない秘密があった――前世の記憶を持つ転生者だったのだ。

双子ゆえに定められた運命は、僧侶として静かに生きる道。神童と呼ばれぬよう能力を隠し、穏やかな余生を望んでいた千代丸は、延暦寺へ向かう船旅の途中、晩秋の嵐「あなじ」に遭遇し漂流。たどり着いた先は、日本海のさらに北、唐太(樺太)のニヴフの集落だった。

「カスク(犬の子)」という異国の名を授かり、竪穴住居での極寒のサバイバルが始まる。頭に流れ込む未来の知識を頼りに、酒造り、製塩、鍛冶、そして温泉――少しずつこの地に根を張っていく千代丸は、村長トグルや寡黙な戦士チュフ、星の名を持つ少女ナズと出会い、やがて「シラム」という新たな名で呼ばれるようになる。

しかし、穏やかな日々の裏で、南からはアイヌの脅威が、大陸からはモンゴル帝国の影が、確実に迫っていた。史実にはまだない「百年後の大津波」も知る千代丸は、和人とニヴフ、二つの世界の狭間で、来るべき時代への「布石」を静かに打ち始める――。
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