そこにフルタはいません (下)
フルタの顔がスーパーインポーズ(上書き)されたニセフルタの顔が、インターネットのSNS上に頻出するようになっていった。その顔は誰からともなくタローと呼ばれるようになった。「タローを探せ」というインターネットのゲームにまで発展し、世界中で評判となっていった。タローはテレビ界にも進出し、コタローやザ・タローなど様々なタローが登場して社会現象となった。さらに、あろうことか動物の顔までタローで上書きされた。そしてついに、インターネットの動画のすべての顔がタローの顔によって上書きされてしまった。防犯カメラに写った人もすべてタローになったので、防犯カメラはその任を果たさなくなった。タローブームはタロー仮面というかたちで小学生にも影響を及ぼした。そうした一連の騒動の中で、フルタは愚痴を零しつつも、堅実な日々を送った。一方、かれの同居人である、アダルトビデオのクィーンと呼ばれるクララは、密かに何かを画策しているようであった。タローブームはどこに向かって収束するのであろうか。
0 予告
2021/05/23 16:00
1 ニセフルタの登場で営業成績が伸びました
2021/06/01 00:00
2 主客転倒
2021/06/02 00:00
3 受験生が「タローを探せ」にはまる
2021/06/03 00:00
4 子供にせがまれてタローを探す
2021/06/04 00:00
5 コタローに叱られる
2021/06/05 00:00
6 肖像権
2021/06/06 00:00
7 ザ・タローの登場
2021/06/07 00:00
8 ストロング・タロー
2021/06/08 00:00
9 タロー仮面
2021/06/09 00:00
10 何万人ものフルタがいる
2021/06/10 00:00
11 人面魚
2021/06/11 00:00
12 タローは文化なり
2021/06/12 00:00
13 中国陰謀説
2021/06/13 00:00
14 ネコババ
2021/06/14 00:00
15 母からの電話
2021/06/15 00:00
16 クララの企て
2021/06/16 00:00
17 クララ失踪
2021/06/17 00:00
18 東南アジアのミルマー国の民主化運動
2021/06/18 00:00
19 クララが帰ってきた
2021/06/19 00:00
20 ある小学校の小さな解放
2021/06/20 00:00