交叉路物語 Des langues croisées
最新エピソード掲載日:2026/11/01
世界規模のクラッキングにより、多くの国家が一時的な機能停止に陥った<世界が息を止めた日>から10年後——。
地球の衛星軌道圏や月面で、大国・企業間の開発・資源競争が激化する時代。地上では気候変動下の動物の行動変容を引き金に発生した新興病原菌が猖獗(しょうけつ)を極め、電子ネットワーク上では悪性機械知<マルボット>を無尽蔵に産出するデュプリケーターが氾濫していた。人間社会は電子領域における関係性防疫網<信頼連鎖>を作り上げ、これらに対する防壁とする。一方、その鎖は、貧富をもとにしたものだけでなく、Cogentに代表される機能知性や、オートメーションの波によって露わになった<新しい知性>による格差をも助長し、固定化していった。
【第一部】
エノワール・ツァンは故郷アジアの情勢不安から逃れるようにして、ヨーロッパの国境・辺境の街<交差路>に移住する。学生生活のかたわら、余暇を使って仮想空間<模擬境界(シミュラレルム)>上の演目(プログラム)に参加していた彼女は、同年代の女性サリアと出会う。サリアに誘われ、<半民主義(デミクラシー)>や<人権人知再解釈運動>の筆頭とされる若者中心の結社<思惟党>の午餐会に参加した彼女は、大規模なクラッキングに巻き込まれる。その攻撃主は、彼女と同じ鎖に繋がれた人々に、こう告げる——
「人類から格差の種根を取り除き、世界に真の平衡(バランス)をもたらすことに賛同しますか?」
地球の衛星軌道圏や月面で、大国・企業間の開発・資源競争が激化する時代。地上では気候変動下の動物の行動変容を引き金に発生した新興病原菌が猖獗(しょうけつ)を極め、電子ネットワーク上では悪性機械知<マルボット>を無尽蔵に産出するデュプリケーターが氾濫していた。人間社会は電子領域における関係性防疫網<信頼連鎖>を作り上げ、これらに対する防壁とする。一方、その鎖は、貧富をもとにしたものだけでなく、Cogentに代表される機能知性や、オートメーションの波によって露わになった<新しい知性>による格差をも助長し、固定化していった。
【第一部】
エノワール・ツァンは故郷アジアの情勢不安から逃れるようにして、ヨーロッパの国境・辺境の街<交差路>に移住する。学生生活のかたわら、余暇を使って仮想空間<模擬境界(シミュラレルム)>上の演目(プログラム)に参加していた彼女は、同年代の女性サリアと出会う。サリアに誘われ、<半民主義(デミクラシー)>や<人権人知再解釈運動>の筆頭とされる若者中心の結社<思惟党>の午餐会に参加した彼女は、大規模なクラッキングに巻き込まれる。その攻撃主は、彼女と同じ鎖に繋がれた人々に、こう告げる——
「人類から格差の種根を取り除き、世界に真の平衡(バランス)をもたらすことに賛同しますか?」
第一部
00 エピグラフ
2026/10/25 13:04
I
01 月のほこり
2026/10/25 13:05
02 浴室、火と馬、疑心症、窓辺の女、交差路の街
2026/10/25 13:09
03 言語統一、踊りのペスト、非中央集権型機能知性
2026/10/26 12:00
04 仮想インターネット小史(電子防疫学概論より)
2026/10/27 12:00
05 魅了の支度、お化け屋敷、口唇期、猫の合宿
2026/10/28 12:00
06 大農野、りんごの魔女、車窓の光、現実の証明
2026/10/29 12:00
07 ルーズソックス、血のバスタブ事件、抗体移民
2026/10/30 12:00
08 仮想労働者、恋もどき論者、思惟党、魔除けのお守り
2026/10/31 12:00
09 魔術師の再来、遺伝子相続税、カクテルドレス、手の味
2026/11/01 12:00