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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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三十階から先は、誰も知らない ~塔を追い出された案内人と、上から降りてきた少女~

最新エピソード掲載日:2026/11/03
 塔の各階には、掟が一つだけある。
 掟はどこにも書かれていない。破った者はその階に「残され」、持ち物だけが落ちる。

 案内人のセンは十七歳。一階から三十階までの掟をぜんぶ覚えていて、四百十二回、一人の客も残さずに上まで案内してきた。剣は振れない。体力も並。
 三十階の踊り場で、雇い主に告げられた。
 「地図の無い階に、案内人は要らない」

 その踊り場で、女の子が眠っていた。
 首には、七年前に塔で消えた兄ジンの札。
 目を開けたイルマは、自分の名前と「上に帰らなきゃ」しか覚えていなかった。そして、センを片手で持ち上げた。

 三十一階から先へ行って、戻ってきた者はいない。だから掟を、誰も知らない。
 掟を見抜くのは、最弱の案内人。押し切るのは、怪力の女の子。
 兄のいる五十八階まで、一階ずつ登っていく。
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