誰れや詠む もうこんなにも ない地でも~頭頂部薄めのアラフィフは滅びゆく異世界を救うため、一句吟じます~
四十六歳。
無難でうだつの上がらない長友慎太郎は、社会の荒波に揉まれながらも、妻と一人娘を持つどこにでも居るサラリーマンである。
彼には外見に特徴があった。頭頂部の毛がかなり薄くなっており、周りの毛をかき集めて何とか体裁を整えている惨めな状況であった。
とある日のこと。仕事で疲れ帰って来た慎太郎はリビングのソファーでそのまま眠ってしまう。
目が覚めると、そこは見慣れぬ光景であり、馬車の荷台に乗せられ、黒き獣から必死に逃げている最中であった。
そんな危機一髪の状況で、慎太郎は一人の少女と出会う。
桜色の髪と翡翠色の瞳を持った、大巫女と呼ばれる彼女は、慎太郎をこう呼ぶ。
大神官様、と。
慎太郎は、世界を滅びへと向かわせる存在である黒き神を封印できる唯一の存在である「大神官」として、異世界へ召喚されたのだった。
大神官である彼のみが行使出来る、俳句とも川柳ともつかぬ不思議な句「ヤナギノク」で、慎太郎はこの世界を救うことが出来るのだろうか。
無難でうだつの上がらない長友慎太郎は、社会の荒波に揉まれながらも、妻と一人娘を持つどこにでも居るサラリーマンである。
彼には外見に特徴があった。頭頂部の毛がかなり薄くなっており、周りの毛をかき集めて何とか体裁を整えている惨めな状況であった。
とある日のこと。仕事で疲れ帰って来た慎太郎はリビングのソファーでそのまま眠ってしまう。
目が覚めると、そこは見慣れぬ光景であり、馬車の荷台に乗せられ、黒き獣から必死に逃げている最中であった。
そんな危機一髪の状況で、慎太郎は一人の少女と出会う。
桜色の髪と翡翠色の瞳を持った、大巫女と呼ばれる彼女は、慎太郎をこう呼ぶ。
大神官様、と。
慎太郎は、世界を滅びへと向かわせる存在である黒き神を封印できる唯一の存在である「大神官」として、異世界へ召喚されたのだった。
大神官である彼のみが行使出来る、俳句とも川柳ともつかぬ不思議な句「ヤナギノク」で、慎太郎はこの世界を救うことが出来るのだろうか。
第零髪 引き換えの 毛根何も 無い頭部
2022/05/15 22:00
(改)
第一髪 慎太郎 という男の 人となり
2022/05/15 22:00
(改)
第二髪 森の中 回る轍で 目を覚ます
2022/05/15 22:00
(改)
第三髪 再びの 危機に男は 詠み上げる
2022/05/16 00:00
(改)
第四髪 空を駆け 黒き巨人と 対峙する
2022/05/17 00:01
(改)
第五髪 祝宴で 杯あおる彼に 皆笑顔
2022/05/18 22:00
(改)
第六髪 花の香 薫る寝室 身寄せられ
2022/05/21 21:00
(改)
第七髪 夢なのか ありふれた日に 落つる髪
2022/05/22 21:00
(改)
第八髪 真剣に 向き合う姿 手に異本
2022/05/25 21:00
第九髪 拍子抜け げに素晴らしき 夜はしじま
2022/05/28 21:00
第十髪 邪魔者と むげな扱い 父寂し
2022/05/28 22:00
第十一髪 滅びゆく 地へ舞い戻る 薄き者
2022/05/28 23:00
第十二髪 もこもこの 鳴く声未来 暗示する
2022/05/29 21:00
第十三髪 書を読みて 世界のことを 深く知る
2022/05/29 22:00
第十四髪 馴染み深い 風呂場の景色 いい湯だな
2022/06/03 22:00
第十五髪 屈強な 男の過去を 知る機会
2022/06/03 23:00
第十六髪 束の間の 日常という ありがたさ
2022/06/04 21:00
(改)
第十七髪 冒険の 気持ち高鳴る 迷宮へ
2022/06/04 23:00
第十八髪 頭にくる 笑いふりまく 大地神
2022/06/05 21:00
第十九髪 毛を求め 激しさを増す いくさばよ
2022/06/08 22:00
第二十髪 また一歩 獣の影が にじり寄る
2022/10/23 09:00