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魔人裁判長の異世界判例集――王も神官も罪人も、私の法廷では同じ高さに座っていただきます

作者:平木明日香
最新エピソード掲載日:2026/07/04

風の神を信奉し、流れと自由を尊ぶ多種族国家セフィラード。

王都にそびえる最高司法機関・大衡法院では、人間だけでなく、翼人、夢を共有する一族、肉体を持たない精霊、そして数百年を生きる長命種までもが、同じ法の下で裁かれている。

その頂点に立つのは、異大陸から渡ってきた千二百歳の魔人――首席衡理官レイヴァン・エル=カディム。

王族にも媚びず、神官にも屈せず、罪人にも侮蔑を向けない彼は、今日も静かに告げる。

「王も神官も罪人も、私の法廷では同じ高さに座っていただきます」

姿なき精霊を消滅させた楽器職人。
故郷から逃げる自由を奪われた少女。
三百年前の虐殺に加担しながら、当時の法には従っていた長命者。
そして、国を救うために民の自由を奪った英雄。

善人だから無罪なのか。
悪人ならば、どのように裁いてもよいのか。
種族も寿命も身体の形さえ異なる者たちを、同じ法律で裁くことは、本当に平等なのか。

法廷に持ち込まれるのは、いずれも法だけでは答えの出ない事件ばかり。

それでもレイヴァンは、証拠を読み、言葉を聞き、誰かの自由を奪う判決を下し続ける。

なぜなら彼自身、かつて故国で“不正な法律に従い”、多くの者を死へ追いやった裁判官だったからだ。

法に従うことは、正しいことなのか。
正義のためなら、法を破ってもよいのか。

やがて数々の事件は、八百年前の建国に隠された一つの偽りへとつながっていく。

裁かれるべきは罪人か。
法律を作った者か。
それとも、偽りの上に築かれた国家そのものか。

これは、善悪を見分ける物語ではない。

善悪だけでは救えない者たちのために、千年の罪を背負う魔人裁判長が、不完全な法と向き合い続ける異世界法廷幻想譚。
第一章 善悪の彼岸
序文
2026/06/29 22:11
風の止まる法廷
2026/06/29 23:39
第一話 風紋
2026/06/30 00:09
第二章 自由を拒む自由
第六話 谷は風を拒んだ
2026/07/02 08:27
第三章 世界の傷口
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