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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

シルエスト・アーレイア

とある図書館の読者に捧ぐ短編集

作者:五月伊織
最新エピソード掲載日:2026/06/19
ここではない場所。
いまではない時代。

絶海の孤島に、その図書館はある。
訪れる者はほとんどおらず、渡る術を知る者も少ない。

ただ、劣化防止の魔法が幾重にも施された『本』だけが眠る。

ここは、ある種の墓所だ。

滅びた国。
絶えた民族。
既に使う者のいない言語。

亡霊のような書物が、お前を待っている。

ここに居るならば、お前も招かれたのだろう。
この場所に。
 ―― R. L. A


あなたが気が付いた時には、この『図書館』にいた。

あなたがここを『図書館』だと判断したのは、すり鉢状の空間一面に、書架が立ち並んでいたからだ。
天井高くまで伸びた壁には、隙間なく書架が埋め込まれている。

すり鉢の底。
書見台には、『R. L. A』なる人物の署名付きメモが残されているのみ。

その『署名』自体、あなたは知らない文字だった。
しかし、『意味』はわかる。
それも、正確に。

それは確信だった。

あなたの呼吸。
衣擦れ。

それ以外、耳が痛くなるような静寂に包まれている。

あなたは、まず現状を知るために、目についた本に手を伸ばした。


※この短編集は、
過去に個人サイトや同人誌で公開していた物語を、加筆訂正した再録です。
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