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エルデーン世界記録集 ― Chronicle of Eldern

七つの隣人 神々の愛でし民を訪ねて~若き記録係の旅~

最終エピソード掲載日:2026/09/02
七種族の名を知らぬ者はいない。

だが、実際に彼らと会ったことのある者は、百人に一人もいない。

千年の闘争の昔、神々が人の中から引き上げ、自らの欠片を分け与えたと『統一神書』に記される七つの民。

声を張れば、その言葉が落雷となるため囁きでしか話さない――雷冠の民。

知ったことが文字となって肌に浮かび、学ぶほどその身を黒く染めてゆく――銘肌の民。

歩いた跡に草花が芽吹き、いかなる命を奪うこともできない――芽吹の民。

嘘をつけば、自らの身体を支えることすらできなくなる――天秤の民。

ひとつの返事に半日を費やし、長い年月の果てに岩へと変わってゆく――黙坐の民。

老人の姿で生まれ、歳月とともに若返り、最後には水へと還る――逆刻の民。

そして、影の代わりに小さな「扉」を足元へ落とす――黄昏の民。

その名は童歌にまで歌われながら、彼らがどのように考え、暮らし、人と接しているのかを知る者はほとんどいない。

本書の書き手は、七種族との橋渡しを百五十年にわたって担ってきた「吹き流れる知恵の収集旅団」の若き記録係、ユーリ・ロ・ヴェンデル。

入団してまだ五年。

七種族に慣れきっていない彼に、旅団長は一冊の記録を書くよう命じた。

「古株は彼らに慣れすぎた。初めて会ったときの驚きを、まだ覚えている者が書くべきだ」

かくしてユーリは、使節の記録係として歩いた五年間の旅を振り返りながら、七つの隣人を一種族ずつ訪ねてゆく。

彼らは何を食べ、何を信じ、何を恐れ、どのように人間を見ているのか。

そしてユーリ自身にも、一つだけ確かめたいことがあった。

七歳のころ、川辺で出会った一人の逆刻の老人。

初対面だったはずのその老人は、幼いユーリの顔を見るなり涙を流した。

――あの人は、なぜ私を見て泣いたのだろう。

その答えに辿り着くまでの、七つの民と一人の記録係による異種族見聞録。
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