表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴォイドの呼び声Ⅰ虚無の跫音  作者: 逆立ちハムスター


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/116

116

「そういえばマーティンって司祭だったのよね?」

「昔の話だ」

「どういう経緯で鼠になっちゃったわけ?」

「それは私が一番知りたいさ。大方どこかのバカが、魔法の練習か何かで私の魂を移動させたんだろう。それか事故か。いずれにしてもそれが悪夢の始まりになった。死者を軽んじるなど。おっと、悪気はないんだ」

「信仰の教えはどの神だったんですか?」

「パクスだ」

「非情だとは思わないわけ?」

「パクスの加護あっての事。もっと悲惨だったかもしれない。そう思うと感謝しかないさ」

「物は考えようね」

「そういう君はどうなんだ? 若いのに、故郷を遠く離れ危険な冒険を続けているようだが」

「知ってるかもしれないけど、獣人文化には肉食、草食、雑食って根強いヒエラルキーがあるの。私は最下層の雑食ってわけ。故郷じゃ肩身が狭いのよ。世界は広いんだから、態々殻に籠もってる必要はないと思ってね」

「噂だけでも酷いと聞く。吾輩はジャスミン王女やマーラの気持ちが痛いほど分かる」

「そうだったのか。ならばジャスミンが王家の血筋とは意外な事だな」

「そうでもないわ。お互い身を寄せ合うものだし。ジャスミンは確かに王家の出だけど、かなり辺境だったもの。おかげで…友人になれたけど」

「…………」

辛そうなサム。

「んんっ、イエナはどうなの?」

「私!? 私は…人に語るような大それた事はないかな……」

「いいから話してよ」

「私は…ドルイドだったの。力を取り戻させてもらってから、ようやく 徐々に思い出してきたところかな」

「ドルイドということは、サンクチュアリ出身なのか?」

「ええ」

「私の妻がドルイドだったんだが、ドルイド になるための試練はかなり辛かったと聞く」

「確かに…そうです。ドルイドの試練は自然と一体になることでしたので。試練の途中でディアーナの怒りを買えば、そのまま自身が自然の一部となってしまいます」

「なにそれ怖っ。そんな神によく従おうと思ったわね」

「当時は、国や家の古くからの習わしで、疑問に思った事がなかったの。ヘスペリデス地方じゃ、ディアーナの信仰はそれ程強くはないの?」

「うん。どっちかと言うとルーナの方が影響力があるかな」

「それとミネルヴァだな」

「そうそう」

「ヘスペリデスでのミネルヴァの影響力は絶大だ」

「武器を製造せねば。棒切れと石で戦う事になる。だったか」

「流石リッヂだ」

「故郷じゃ嫌になるほど聞いたわね」


暫くして目的地へ着く。




── Ⅺ章『悪魔狩り』──



シーラセライ。訳:ご機嫌よう。は獣人達が初めて交わした言語である。『神々の言語』より。著:フースカヌーン:言語学者。



── ロクスソルス城前。



「ロクスソルスの城。何かあると思ってたのよ」

「行くぞ。警戒を怠るな」

「正面から行くの?」

「他に入り口があるのか?」

「ええ、こっちよ。ついてきて」


パイプを通り、城の中へ入る。


「やるじゃないか。マーラ」

「マーネ」

「なぜ知っていた?」

「そんな事より今は警戒しましょ♪」


ドアを念動で開こうとするが、意外と重い。

力を強め押し開く。

メトゥスが先行する。

ドアにはデーモンの死体がもたれかかっていた。


「こりゃひでーな」


壁や床は焦げ、フロアにはデーモン達の死体が散乱していた。デーモンの切断された頭部や腕、脚も無造作に散らばっている。


「先客がいたようね」

「まだ息があるかもしれん。用心しろ」

其々が警戒しながら散開していく。


ドアにもたれかかっていた1体のデーモンを凝視する。

闇の穢れが魂の離脱を妨害している。これはまるで…。


奇妙な咆哮がフロアに響き渡る。


フロア中央に青黒い靄が立ち込め、1体のダークナイトへ姿を変えた。


「領域侵犯の代償を払え」


ダークナイトが周囲に闇を放ち、こちらへ急接近してくる。


マーラは小型のアイスシャードを、サムは中型の闇の刃を放つ。イエナが毒の壁を放ち進行路を防ぐ。だがダークナイトはアイスシャード数発を受けると闇の歩みを放ち、闇の塊となって移動し、毒の壁を躱し迫ってくる。


ダークナイトに中型の死の火球をメトゥスと共に複数放っていく。ダークナイトは避ける素振りをみせず、そのまま死の火球を全て浴び、消滅してしまった。


「サム! ちゃんと狙ってよね! 私に当たりそうだったじゃない!」

「はぁ、はぁ。すまない。いきなりこんなのが出てくるなんて思わなくて」

「まったく。戦場で一番怖いのは同士討ちなんだから。気を付けてよね」

「ああ、気を付ける」

「以前の私みたいですね」

「…………」

「どうされたんですか?」

「ふむ (疑問)」

「にしても手応えなかったわね」

「デーモン達のおかげで負傷していたのかも」

「リーケン?」

「ああ、サムの言う通りかもな。運が良かった。2階へ行こう」

「アンデッドにしないの?」

「闇がデーモン達の魂に干渉している。先に闇の束縛を解かなくては」

「ちぇ、援護を期待できそうだったのに」


2階へ上がる。


階段にも死体や血が散乱していた。


「気を付けろ。デーモンの血は触れると燃える」


どのフロアも似たような光景だった。


浮遊する種族型の靄、ダークスカウターが複数巡回していた。

「気付かれる前に最上階まで行くぞ」


最上階にはデーモンの死体も、モルスの刺客の姿も気配もなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ