聖女をクビにしたら国が詰んだ
最終エピソード掲載日:2026/05/09
十年間、誰にもここにいてほしいと言われなかった。
王都の筆頭聖女フラウは、第一王子にクビを告げられた。お前の代わりなどいくらでもいる、と。泣かなかった。
もう十分だと思ったから。
後任の聖女が連れてこられた。フラウは最後に神鏡テストを進言した。握りつぶされた。
引き継ぎ書三百頁を残して、王都を去る。
翌朝、結界が消えた。神獣が餌を拒否した。祝祭の段取りを知る者が誰もいなくなった。
代わりはいるはずだった。なのに国は、静かに壊れ始める。
辺境の古神殿にいたのは、無愛想な神官長と見た目八歳の子ども神。神官長は好みの茶葉を備品だと言い張る。毎朝届く花を、たまたまだと言い張る。
子ども神はおやつをねだり、厨房を爆発させる。夜になると膝の上で眠りながら、ここにいてよと言った。
十年で初めて聞いた言葉だった。
フラウのいない王都が崩れていく。フラウのいる辺境が満ちていく。
備品でもたまたまでもないものに、フラウはまだ気づかない。
王都の筆頭聖女フラウは、第一王子にクビを告げられた。お前の代わりなどいくらでもいる、と。泣かなかった。
もう十分だと思ったから。
後任の聖女が連れてこられた。フラウは最後に神鏡テストを進言した。握りつぶされた。
引き継ぎ書三百頁を残して、王都を去る。
翌朝、結界が消えた。神獣が餌を拒否した。祝祭の段取りを知る者が誰もいなくなった。
代わりはいるはずだった。なのに国は、静かに壊れ始める。
辺境の古神殿にいたのは、無愛想な神官長と見た目八歳の子ども神。神官長は好みの茶葉を備品だと言い張る。毎朝届く花を、たまたまだと言い張る。
子ども神はおやつをねだり、厨房を爆発させる。夜になると膝の上で眠りながら、ここにいてよと言った。
十年で初めて聞いた言葉だった。
フラウのいない王都が崩れていく。フラウのいる辺境が満ちていく。
備品でもたまたまでもないものに、フラウはまだ気づかない。
第1話 お前の代わりなどいくらでもいる
2026/05/09 13:26
第2話 やっと来た
2026/05/09 13:26
第3話 辺境にも、守れるものがありました
2026/05/09 13:27
第4話 たまたまだ
2026/05/09 13:27
第5話 この引き継ぎ書を、全国民に読ませたい
2026/05/09 13:27
第6話 帰す理由がない
2026/05/09 13:27
第7話 三ヶ月前から準備してたよ
2026/05/09 13:27
第8話 お前は迷惑なんかじゃない
2026/05/09 13:27
第9話 フラウを追い出した人間に、用はない
2026/05/09 13:27
第10話 好きだ。最初から、ずっと
2026/05/09 13:27