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『勇者パーティーを見限った元兵站責任者~辺境で自分の隊を作ったら王国最強の遠征軍になった~』

作者:あちゅ和尚
最新エピソード掲載日:2026/09/24
勇者アレクの一行は、本当に強かった。

聖剣で敵陣を突破する勇者、近衛騎士をしのぐ剣士、大魔法を操る賢者、致命傷さえ治す聖女。

ガレス・ヴァーンは六年間、彼らと共に戦いながら、食料、水、馬、荷車、装備、野営地、補給路、負傷者の後送まで引き受けてきた兵站責任者だった。自身も長槍と風魔法を操る一流の戦士だが、一人の強者だけでは軍を動かせないことを誰よりも知っている。

魔王軍の重要拠点、カラン砦を攻める大規模遠征。

提示された計画を見たガレスは、砦を落とすこと自体は可能だと判断した。しかし、敵が倉庫を焼き、橋を落とせば、百人を超える兵士と負傷者を連れて帰る手段がない。

ガレスは補給所、予備の荷車、橋梁資材、後送班を含む代案を示す。だが、敵の増援が迫るなか、勇者たちは一日でも早い出発を選んだ。

どちらが臆病で、どちらが無謀なのか。そんな話ではなかった。

勇者には、今すぐ救わなければならない人々がいる。ガレスには、自分の計画で死なせてはならない兵士がいる。

「俺は降りる。勝算は認めるが、この遠征に責任は持てない」

追放でも、恨みに任せた決別でもない。

自ら勇者パーティーを離れたガレスは、仕事を求めて辺境へ向かう。そこで出会ったのは、元騎士、獣人の斥候、野戦治療師、若い徴募兵、荷車を知り尽くした隊商の男。誰も勇者ほど強くはないが、それぞれに任せられる仕事があった。

食料を切らさず、無理な行軍を避け、戦う前に退路を決める。負傷者を運ぶ者まで残し、全員が生きて帰れる条件を整える。

半壊した灰鷹砦から始まった小さな隊は、やがて王国で最も遠くへ行き、最も多くの兵を連れ帰る遠征軍へ成長していく。
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