究極術式は店賃にならない
最終エピソード掲載日:2026/06/04
世界を滅ぼせる究極の力(チート)を持っています。――でも、それじゃ明日の米は買えません。東京で事務職として働き、付き合っていたクズ男に結婚資金の300万円を全て持ち逃げされた美沙子(29歳)。絶望して踏切前に立ち尽くしていた彼女は、気がつくと江戸時代に酷似した和風の異世界へ転移していた。そこで授かったのは、世界を揺るがす10個の『究極術式』。しかも『魔力(気)の消費ゼロ』で無限に連発できるという規格外のチート能力。おまけに何でも収納できる『影の袋(アイテムボックス)』までついてきた。当然、お上の役人たちは「国のために大妖怪を討伐しろ」と偉そうに命令してくる。けれど、東京で男に尽くし、搾取され、都合よく使われて捨てられた美沙子は、もう他人のために自分を削らないと決めていた。「大妖怪なんて、会ったこともない他人の都合です。それより明日私が食べていけるかどうかのほうが、よっぽど重大です」公儀の命令をあっさり無視し、武士たちの刀を床ごと『影の袋』に吸い込んで逃亡!国家最重要指名手配犯となった美沙子が選んだのは――下町の裏長屋で、1本1文の「傘張り」の内職をする地味な逃亡生活だった。最強のチート能力をミクロン単位の糊付け作業に無駄遣い。お宝を換金すれば足がつくから、自分で地道に稼いだ数文で、冷たい玄米を食べる。他人に依存せず、自分の力だけで暮らす日々に、美沙子は静かな幸せを感じていた。しかし、公儀の不正を握って追われているという訳ありの武士が長屋に転がり込んできたことで、美沙子の静かな生活に御庭番の包囲網が迫りくる――!「私の四畳半を、他人の事情で汚されてたまるものか」最強の力を「戦うため」ではなく「静かに引きこもるため」に使う、冷徹で現実的な29歳崖っぷち女性の、世知辛くも爽快な異世界お仕事(夜逃げ)ファンタジー、開幕!
第1話:お上の命と、裏長屋の店賃
2026/05/22 07:10
第2話:落ちる影の袋と、三枚の銀貨
2026/05/24 07:30
第3話:通り過ぎる御庭番、見つめる私
2026/05/26 19:10
第4話:追跡者と、冷めた白粥
2026/05/28 19:10
第5話:大妖襲来の噂と、私の洗濯物
2026/05/30 19:10
第6話:路地裏の結び、消費ゼロの術
2026/06/01 19:10
第7話:新しいお天道様
2026/06/03 19:30
特番:五文のお団子と、本当の自由
2026/06/04 07:00