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特番:五文のお団子と、本当の自由

漁網の補修を終えて、私の手元には五枚の銅貨――五文が残った。 自分の手で稼いだ、汚れて歪んだ硬貨の重みが、手のひらに心地よい。 私は日当たりのいい縁側に腰掛け、その五文で買ったばかりの、みたらし団子を口に運んだ。 ほんのり焦げ目のついた団子に、甘じょっぱい醤油のタレが絡んでいる。一口噛むと、素朴な米の甘みが口いっぱいに広がった。 東京にいた頃、あの男はよく「ミサコ、ごめん。今日のおやつ代、出しといて」と言って、私の財布から小銭を掠め取っていった。自分が食べるケーキは一番高いものを選び、私の分はいつもコンビニの見切り品だった。 あの頃の私は、なぜあんな数年間の不条理を耐えていたのだろう。 ふと、私の気配察知が、遥か遠くの王都の空が赤く染まるのを捉えた。 大妖怪・九尾の狐と、公儀の生き残りたちが、いよいよ最終決戦でも始めているのだろう。凄まじい大気の震えが、私の肌にチリチリと伝わってくる。 もし私が立ち上がれば、魔力消費ゼロの究極術式で、その戦いを一瞬で終わらせることができる。 けれど、私は二本目のお団子に手を伸ばした。「……私の五文のお団子より、軽い価値しかないわ」 世界がどうなろうと、お上が滅びようと、私の知ったことではない。 私の世界は、この店賃を払った小さな平屋と、自分で稼いだ五文のおやつだけで、すでに完璧に完結している。 青い海から吹き抜ける心地よい風が、私の髪を優しく揺らした。 誰の顔色もうかがわず、誰の道具にもならない。 お団子の甘酸っぱさを噛み締めながら、私は新しく昇ったお天道様を、ただ静かに見つめていた。(本当の完結)

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