表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

姉の代わりに処方を書くのをやめました ~白い結婚の夫だけが、私の名を知っています~

最終エピソード掲載日:2026/08/15
三年間、姉の名前で薬を作っていた。

誰も気づかない。

礼を言われたこともない。

ローゼは、薬房を営む子爵家の次女。

処方を組むのも、危険な配合を止めるのも彼女だ。

けれど紙に残るのは、いつも姉の名前だった。

家族なのだから。

そう言われるたび、彼女は黙って筆を執った。

政略で嫁いだ先で、夫はこう告げる。

一年で離縁する。

顔を合わせる必要はない。

白い結婚。

離れで薬草を育てる暮らしを、ローゼはむしろ歓迎した。

静かで、誰にも急かされない。

ある朝、彼女は夫が飲もうとした瓶を止める。

その二つを同時に飲めば、心の臓が止まる。

瓶に貼られた処方箋は、二年前に彼女自身が書いたものだった。

姉の字で、書き写されていた。

そして一箇所だけ、分量が違っていた。

その夜、ローゼは短い手紙を書く。

三行だけの手紙だ。

今後、処方は書きません。

書かないと決めた人の名前は、どこにも残らない。

では、書いていたことを、誰が知っているのだろう。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ