商いの向こう 監査部編
最新エピソード掲載日:2026/11/07
数字の向こうに、人の営みがある。
営業一筋で歩んできた菅野春樹は、支店次長としての経験を経て、春の人事異動で青葉銀行の監査部企画次長に就任する。
本店から離れた八重洲の専用オフィス。そこに集まるのは、かつて優秀な行員として名を馳せながら、組織の中で傷を負い、あるいは出世競争から距離を置いた者たちだった。
春樹は、監査部をどこか「昇格から外れた人間の集まり」と見ていた。しかし、監査部長の相沢をはじめ、大森、佐伯、三橋、宮田ら個性豊かな面々と仕事をするうちに、彼らが持つ経験と洞察、そして銀行を守ろうとする静かな矜持に気づいていく。
最初に直面したのは、勘定系システムの更改をめぐる問題だった。
度重なる開発遅延、試験の不備、現場に積み重なる過重労働。経営の意向と現場の実態の間で、問題は次第に見えにくくなっていた。春樹は、監査という立場から、銀行の中で何が起きているのかを探り始める。
やがて、監査部の場面は支店監査へと移る。
浦安支店の監査で、大森班は融資稟議に添付されたExcel試算表の不自然な改変を発見する。調査を進めると、同様の手法は門前仲町支店、押上支店にも広がっていた。
それは、単なる一部行員の不正なのか。
現場の効率化から始まった手法が、業績目標への圧力と結びつき、いつしか数字を整えるための操作へと変わっていったのではないか。
監査部が事実を明らかにしようとする一方で、組織は波紋を広げることを恐れる。関係次長会では明確な結論が出ず、調査の方向性も揺らいでいく。そこには、誰もが正面から問題に向き合うことを避け、風向きを読み続ける銀行の姿があった。
しかし、監査部による特別調査が始まる。企画グループの三橋調査役は、システム部で培った経験と高いデータ処理能力を生かし、膨大な融資資料を分析。問題の痕跡が、浦安支店だけでなく全店に広がっている可能性を浮かび上がらせる。
春樹は、監査部の企画次長として、調査を統括しながら、数字の裏にある人間の事情と組織の構造に向き合う。
銀行を守るとは、何を守ることなのか。
顧客の信頼か。行員の生活か。組織の体面か。
監査部編は、銀行という巨大な組織の中で、正しさと現実の狭間に立つ人々の姿を描く。
そして春樹は、営業の現場で培った経験を胸に、数字だけでは見えない「商いのそば」にある真実を探していく。
営業一筋で歩んできた菅野春樹は、支店次長としての経験を経て、春の人事異動で青葉銀行の監査部企画次長に就任する。
本店から離れた八重洲の専用オフィス。そこに集まるのは、かつて優秀な行員として名を馳せながら、組織の中で傷を負い、あるいは出世競争から距離を置いた者たちだった。
春樹は、監査部をどこか「昇格から外れた人間の集まり」と見ていた。しかし、監査部長の相沢をはじめ、大森、佐伯、三橋、宮田ら個性豊かな面々と仕事をするうちに、彼らが持つ経験と洞察、そして銀行を守ろうとする静かな矜持に気づいていく。
最初に直面したのは、勘定系システムの更改をめぐる問題だった。
度重なる開発遅延、試験の不備、現場に積み重なる過重労働。経営の意向と現場の実態の間で、問題は次第に見えにくくなっていた。春樹は、監査という立場から、銀行の中で何が起きているのかを探り始める。
やがて、監査部の場面は支店監査へと移る。
浦安支店の監査で、大森班は融資稟議に添付されたExcel試算表の不自然な改変を発見する。調査を進めると、同様の手法は門前仲町支店、押上支店にも広がっていた。
それは、単なる一部行員の不正なのか。
現場の効率化から始まった手法が、業績目標への圧力と結びつき、いつしか数字を整えるための操作へと変わっていったのではないか。
監査部が事実を明らかにしようとする一方で、組織は波紋を広げることを恐れる。関係次長会では明確な結論が出ず、調査の方向性も揺らいでいく。そこには、誰もが正面から問題に向き合うことを避け、風向きを読み続ける銀行の姿があった。
しかし、監査部による特別調査が始まる。企画グループの三橋調査役は、システム部で培った経験と高いデータ処理能力を生かし、膨大な融資資料を分析。問題の痕跡が、浦安支店だけでなく全店に広がっている可能性を浮かび上がらせる。
春樹は、監査部の企画次長として、調査を統括しながら、数字の裏にある人間の事情と組織の構造に向き合う。
銀行を守るとは、何を守ることなのか。
顧客の信頼か。行員の生活か。組織の体面か。
監査部編は、銀行という巨大な組織の中で、正しさと現実の狭間に立つ人々の姿を描く。
そして春樹は、営業の現場で培った経験を胸に、数字だけでは見えない「商いのそば」にある真実を探していく。