グレイス・グラウンド
世界には「神の権力」と呼ばれる七つの力が存在する。
それは国を築き、繁栄をもたらし、時に滅びを呼ぶ、絶対の力。
大陸の歴史は、常にその七人の権力者によって動かされてきた。
その頂点に立つのが、天界を支配する存在―― ソロモン。
彼は「支配」と「豊穣」、二つの権力を同時に宿し、悠久の時を超えて天界を統べていた。
そして彼が定めた最も厳しい掟があった。
――天使は地上の人間に姿を見せてはならぬ。
――決して関わってはならぬ。
掟を破れば、人間は存在そのものを消され、天使は翼をもがれ、二度と天に帰れぬ“堕天”を強いられる。
この掟の下、天界は長らく秩序を保ち続けていた。
だが一人の若き天使―― アザゼル が、その禁を犯す。
彼は苦しむ人間を救い、ソロモンの怒りを買った。
裁きの日、彼の白き翼は無惨に引き裂かれ、地上へと叩き落とされる。
その瞬間、誰も予期せぬことが起きる。
ソロモンの体に宿っていた「豊穣」の権力が、ひとひらの光となり、堕ちゆくアザゼルの身へと移ったのだ。
ソロモンはそれを知りながらも、何も言わずに彼を地に落とす。
――なぜ、その力を託したのか。
――偶然か、必然か。
地に落ちたアザゼルはその事実を知らぬまま、ただ孤独と怒りを抱え、冷たい大地に立ち上がる。
やがてこの選択が、大陸の歴史を揺るがす戦乱の序曲となることを、まだ誰も知らなかった。
それは国を築き、繁栄をもたらし、時に滅びを呼ぶ、絶対の力。
大陸の歴史は、常にその七人の権力者によって動かされてきた。
その頂点に立つのが、天界を支配する存在―― ソロモン。
彼は「支配」と「豊穣」、二つの権力を同時に宿し、悠久の時を超えて天界を統べていた。
そして彼が定めた最も厳しい掟があった。
――天使は地上の人間に姿を見せてはならぬ。
――決して関わってはならぬ。
掟を破れば、人間は存在そのものを消され、天使は翼をもがれ、二度と天に帰れぬ“堕天”を強いられる。
この掟の下、天界は長らく秩序を保ち続けていた。
だが一人の若き天使―― アザゼル が、その禁を犯す。
彼は苦しむ人間を救い、ソロモンの怒りを買った。
裁きの日、彼の白き翼は無惨に引き裂かれ、地上へと叩き落とされる。
その瞬間、誰も予期せぬことが起きる。
ソロモンの体に宿っていた「豊穣」の権力が、ひとひらの光となり、堕ちゆくアザゼルの身へと移ったのだ。
ソロモンはそれを知りながらも、何も言わずに彼を地に落とす。
――なぜ、その力を託したのか。
――偶然か、必然か。
地に落ちたアザゼルはその事実を知らぬまま、ただ孤独と怒りを抱え、冷たい大地に立ち上がる。
やがてこの選択が、大陸の歴史を揺るがす戦乱の序曲となることを、まだ誰も知らなかった。
0話 天使堕ちちゃった
2025/09/19 19:27