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サレ妻同盟の夜会革命

最終エピソード掲載日:2026/05/09
十年間、夫に愛されなかった。
それでも宰相夫人を続けられたのは、外交の仕事にやりがいがあったからだ。
少なくとも、そう思い込むことで毎日を凌いできた。

各国大使との晩餐を差配し、禁忌食材を暗記し、条約交渉の下準備を整える。
それは全て夫の実績として記録され、妻の仕事と呼ばれたことは一度もない。
ヴィクトリアは、自分の名前を持たない十年間を過ごしてきた。

ある春の夜会で、王太子が愛人を正妃に据えると宣言した。
涙を流す正妃の元に、元帥夫人と学院長夫人が駆けつける。
四人の妻が控室に集まったとき、ある事実が浮かび上がった。

この国の外交は宰相夫人が回している。
軍の式典は元帥夫人が仕切っている。
学院の入学審査は学院長夫人が担っている。

妻たちが手を引けば、国の上層部は一週間で止まる。

断罪はしない。
復讐もしない。
ただ、辞める。

それだけで足りるのだと、ヴィクトリアは気づいてしまった。
夫たちが当然のように妻に預けてきた仕事の重さを、不在が証明する。
妻たちの辞表が、この国で最も静かな反乱になる。

夫は不貞をしなかった。
暴力も振るわなかった。
十年間、ただ何もしなかっただけの男だ。

空になった執務室で、その男は何に気づくのか。
気づいたとき、隣にはもう誰もいないかもしれない。
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