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mozart

作者:蒼開襟
最新エピソード掲載日:2026/07/23
夢はまぼろし、全ては瞼を閉じて見る現実である。

時々更新します。

国の安寧など望んではいない。全ては奪いつくすためにあるのだと、人々は手に武器を持ち、知らない者は敵だとする。世界はゆっくりと闇に落ちていた。

 教会の屋根の上に何かがいる。地上では殺戮と略奪が続いているのを、それは普通の光景だというような顔で見つめている。人々はそれには気付かない。目の前にある欲望と飢えに興奮している。

 屋根の上のそれは足を組むと小さな声で歌い始めた。聞いたことのある者ならわかったはずだ。滅亡の歌だ。誰かがそれを歌う時、世界は崩壊する。そんな逸話のある歌だ。人々には聞こえない、聞こえているのは悲鳴と肉が潰れる音、怒号だけだろう。

 歌声が徐々に大きくなろうとも彼らには聞こえない。最後のフレーズに近づく頃には地上で歩いている者などいなかった。
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