馥郁たる紙片亭の千枚台所~料理人ヴァルジャと、千枚のレシピが語る世界の暮らし~
最新エピソード掲載日:2026/09/21
学都ヴェレン、学生通りの外れ。
そこに、献立表のない一軒の飯屋がある。
店の名は――「馥郁たる紙片亭」。
今日何が出るかは、店主ヴァルジャ・ホイットの気分次第。
けれど、この店には一つだけ変わった決まりがある。
**「店主の知らないレシピを持ってくれば、その日の飯はただ」**
船乗りが故郷の魚料理を書き、
行商人が遠い村の煮込みを持ち込み、
学生が母親から教わった豆の鍋を紙片に記す。
文字の書けない者からは、ヴァルジャ自身が聞き書きする。
そうして十三年。
元は製本屋だった店の壁一面に並ぶ小さな抽斗には、千枚を超える料理の「紙片」が集まった。
北国の酸っぱい鍋。
西の平原の骨と根菜の煮込み。
南の豆と油の料理。
香辛料の香る湾岸の汁物。
同じような料理でも、土地が変われば材料が変わる。
作り方が変わる。
そして、その皿を食べてきた人々の暮らしも変わる。
料理人であり、かつて地誌を学んだヴァルジャは、その千枚の紙片を一冊の本にまとめることにした。
珍しい宮廷料理でも、英雄の祝宴でもない。
誰かの家で昨日も作られ、
おそらく明日も食卓に並ぶ、
名もなき日々の料理を。
本書に載る料理は、すべて店主自身が作って確かめたもの。
「適量」はなし。
「目分量」もなし。
材料、分量、火加減、手順まで記された、実際に作ることのできる異世界料理集。
そして一枚一枚のレシピには、
その料理を店へ運んできた人の、小さな物語が残されている。
料理を食べれば、その土地が見える。
レシピを読めば、そこに暮らした人が見えてくる。
これは架空世界エルデーンの小さな飯屋に集まった、
千枚の紙片から世界の食卓を覗く料理・民俗誌。
そこに、献立表のない一軒の飯屋がある。
店の名は――「馥郁たる紙片亭」。
今日何が出るかは、店主ヴァルジャ・ホイットの気分次第。
けれど、この店には一つだけ変わった決まりがある。
**「店主の知らないレシピを持ってくれば、その日の飯はただ」**
船乗りが故郷の魚料理を書き、
行商人が遠い村の煮込みを持ち込み、
学生が母親から教わった豆の鍋を紙片に記す。
文字の書けない者からは、ヴァルジャ自身が聞き書きする。
そうして十三年。
元は製本屋だった店の壁一面に並ぶ小さな抽斗には、千枚を超える料理の「紙片」が集まった。
北国の酸っぱい鍋。
西の平原の骨と根菜の煮込み。
南の豆と油の料理。
香辛料の香る湾岸の汁物。
同じような料理でも、土地が変われば材料が変わる。
作り方が変わる。
そして、その皿を食べてきた人々の暮らしも変わる。
料理人であり、かつて地誌を学んだヴァルジャは、その千枚の紙片を一冊の本にまとめることにした。
珍しい宮廷料理でも、英雄の祝宴でもない。
誰かの家で昨日も作られ、
おそらく明日も食卓に並ぶ、
名もなき日々の料理を。
本書に載る料理は、すべて店主自身が作って確かめたもの。
「適量」はなし。
「目分量」もなし。
材料、分量、火加減、手順まで記された、実際に作ることのできる異世界料理集。
そして一枚一枚のレシピには、
その料理を店へ運んできた人の、小さな物語が残されている。
料理を食べれば、その土地が見える。
レシピを読めば、そこに暮らした人が見えてくる。
これは架空世界エルデーンの小さな飯屋に集まった、
千枚の紙片から世界の食卓を覗く料理・民俗誌。