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悪役令嬢の断罪イベント、司会を任されました ――反論のお時間、三分いただけますか殿下

作者:臥裳斗真
最終エピソード掲載日:2026/10/08
「何分ほどのご予定でしょう」

 卒業祝賀会の壇上で、王太子が突然始めた悪役令嬢への公開断罪。

 普通なら息を呑むところだが、司会を任された放送委員ミレイ・ハーグローヴが真っ先に気にしたのは、進行表だった。

 学院長挨拶まで、あと四分。

 しかも今夜の司会を無事に終えれば、宮廷儀典局への推薦が待っている。

 断罪など、予定にない。

 ならば早く終わらせるしかない。

「持ち時間は十五分です」

 そうして始まったのは、王太子による断罪――のはずだった。

 階段からの突き落とし。
 切り裂かれた衣装。
 脅迫めいた書簡。
 焼かれた教本。

 証拠は揃っている。
 被害者もいる。
 悪役令嬢はろくに弁明しない。

 なのにミレイが、司会として一つずつ順番を確認していくと、話が妙な方向へ転がり始める。

「押すところは、見ましたか」
「その小刀、本当に公爵令嬢の物ですか」
「書簡の続きはございますか」

 見たこと。
 聞いたこと。
 誰かから聞いて、そうだと思ったこと。

 それらを分けていくだけで、会場の空気は少しずつ変わっていく。

 しかも、確認すればするほど厄介なのは、誰か一人だけを悪者にして終われる話ではないことだった。

 王太子にも言い分がある。
 被害を訴えた少女にも嘘ではない痛みがある。
 悪役令嬢にも、黙っていたことがある。

 そして最後には、司会をしていただけのミレイ自身まで、断罪の輪の中へ引きずり込まれていく。

 押し時間、二十七分。

 公開処刑は、予定どおりには進まない。

 そしてミレイは最後まで、「確認しただけ」でいられるのか。

 公開処刑、進行が雑すぎます。
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