- あらすじ
- ### 五億円とつゆだく特盛
ポケットに眠る一枚の紙切れが
世界をにわかに黄金色へ染め上げる
五億という数字の重みに
昨日の服はあまりに軽く
いつもの部屋はあまりに狭い
仕事を辞める空想の刃(やいば)
タワマンの窓から見下ろす街並み
膨らみすぎた風船は
やがて、小さな寝息さえ脅かす
「奪われるのではないか」という怪物の影
誰も信じられなくなる前に
重い扉を押し開け
数字を口座に閉じ込めた
初夏の青空は眩しく
私はようやく、ただの私に戻る
お腹が空いた
券売機の前に立ち
いつもの指を少しだけ横へ滑らせる
並盛りを特盛に変える
つゆだくの汁が、ご飯に深く染みていくように
私の自由も、ここから染まっていくのだろう
どれほど桁が増えようとも
私の胃袋は、私のサイズを越えはしない
一杯の牛丼を「美味い」と笑える
この平熱の幸福こそが
五億円(きん)の鎖を、ただの翼に変えてゆく - Nコード
- N5710MF
- 作者名
- かおるこ
- キーワード
- キーワードが設定されていません
- ジャンル
- ヒューマンドラマ〔文芸〕
- 掲載日
- 2026年 05月21日 11時48分
- 最終更新日
- 2026年 05月21日 12時07分
- 感想
- 0件
- レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 0件
- 総合評価
- 0pt
- 評価ポイント
- 0pt
- 感想受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 1,000文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『五億円とつゆだく特盛』
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから
同一作者の作品
N6678MF|
作品情報|
完結済(全11エピソード)
|
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
暦の王、数字の帳簿
傲慢な王座が 天を指差し
「魔法がすべて」と 季節を嗤う
積算温度の 破綻も見えず
狂った歯車 飢えへの秒読み
「数字しか見ぬ 無能は去れ」と
奪われ 追われた 最果ての谷
凍てつく土壌 地脈の底//
N6609MF|
作品情報|
完結済(全11エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
白銀は、血より冷たい。
けれど――
誰よりも美しかった。
断頭台の朝、
彼女が最後に見ていたのは
愛した男の涙ではなく、
王家を蝕む赤字の帳簿だった。
「愛を信じろ」と人は言う。
だが愛は、
破綻した国庫を満たさない//
N8167ME|
作品情報|
連載(全16エピソード)
|
純文学〔文芸〕
季節の織り糸
春は
まだ冷たい風の中に
ひとすじの若葉色を織り込んでいく
名も知らぬ花が
道ばたで小さく笑うたび
眠っていた心の糸がほどける
夏は
陽だまりの匂いを抱えながら
青空へ白い雲を縫いつける
蝉の声は激//
N6032MF|
作品情報|
短編|
現実世界〔恋愛〕
土砂降りの駅前で
あなたが私の手を振り払い
「君なら平気だろう」と笑ったとき
私の胸の奥で、カチリと音がした
冷徹な、数字の歯車が回り出す音
悲しみで泣き喚くほど
私はおめでたい女ではないし
あなたの不実に付き合うほど//
N5710MF|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
### 五億円とつゆだく特盛
ポケットに眠る一枚の紙切れが
世界をにわかに黄金色へ染め上げる
五億という数字の重みに
昨日の服はあまりに軽く
いつもの部屋はあまりに狭い
仕事を辞める空想の刃(やいば)
タワマンの窓か//
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。