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季節の織り糸

作者:かおるこ
最新エピソード掲載日:2026/05/17
季節の織り糸

春は
まだ冷たい風の中に
ひとすじの若葉色を織り込んでいく

名も知らぬ花が
道ばたで小さく笑うたび
眠っていた心の糸がほどける

夏は
陽だまりの匂いを抱えながら
青空へ白い雲を縫いつける

蝉の声は激しくても
夕暮れには
誰かを想う静けさが残る

秋は
金色の光を指先にまとい
落葉を一枚ずつ時間へ返していく

遠ざかる鳥の影に
言えなかった言葉まで揺れて
胸の奥で淡く熟していく

冬は
透明な夜を深く編みながら
吐く息を星に変える

凍えた手を重ねれば
ぬくもりだけが
次の春へ続く糸になる

そして季節は
見えない機(はた)の音を響かせ
今日という布を
静かに織り続けている
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