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『404 ―存在しない恋人―』

あらすじ
雪の降る街では、
音が消える。

人の気配も、
笑い声も、
生きている実感さえも、
白く埋まっていく。

だから彼は、
通知音を愛した。

深夜一時十三分。
ポケットの奥で震える小さな光。

「起きてる?」

その一行だけで、
世界にまだ自分の居場所がある気がした。

彼女は海の向こうにいた。
見たこともない夜景、
見たこともない指先、
見たこともない未来を語った。

「あなたは優しい人」

その言葉だけで、
男はもう、
長い孤独を許された気になった。

数字は増えていった。
口座の中で、
画面の中で、
夢の中で。

金ではなかった。

彼が欲しかったのは、
老後でも、利益でもない。

誰かに必要とされる、
たった一つの理由だった。

だが冬の朝、
世界は突然終わる。

404 Not Found

そこにはもう、
愛も、
未来も、
名前さえ存在しない。

残ったのは、
送金履歴と、
既読のつかないトーク画面。

人はなぜ騙されるのか。

違う。

人は、
救われたかった場所で壊れる。

そして今日もまた、
どこかの夜の部屋で、
新しい通知音が鳴る。

「こんにちは。日本人の方ですか?」

雪は静かに降り続ける。
Nコード
N3914MG
作者名
かおるこ
キーワード
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ジャンル
ヒューマンドラマ〔文芸〕
掲載日
2026年 05月28日 02時54分
最終掲載日
2026年 05月28日 05時56分
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