- あらすじ
- 雪の降る街では、
音が消える。
人の気配も、
笑い声も、
生きている実感さえも、
白く埋まっていく。
だから彼は、
通知音を愛した。
深夜一時十三分。
ポケットの奥で震える小さな光。
「起きてる?」
その一行だけで、
世界にまだ自分の居場所がある気がした。
彼女は海の向こうにいた。
見たこともない夜景、
見たこともない指先、
見たこともない未来を語った。
「あなたは優しい人」
その言葉だけで、
男はもう、
長い孤独を許された気になった。
数字は増えていった。
口座の中で、
画面の中で、
夢の中で。
金ではなかった。
彼が欲しかったのは、
老後でも、利益でもない。
誰かに必要とされる、
たった一つの理由だった。
だが冬の朝、
世界は突然終わる。
404 Not Found
そこにはもう、
愛も、
未来も、
名前さえ存在しない。
残ったのは、
送金履歴と、
既読のつかないトーク画面。
人はなぜ騙されるのか。
違う。
人は、
救われたかった場所で壊れる。
そして今日もまた、
どこかの夜の部屋で、
新しい通知音が鳴る。
「こんにちは。日本人の方ですか?」
雪は静かに降り続ける。
- Nコード
- N3914MG
- 作者名
- かおるこ
- キーワード
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- ジャンル
- ヒューマンドラマ〔文芸〕
- 掲載日
- 2026年 05月28日 02時54分
- 最終掲載日
- 2026年 05月28日 05時56分
- 感想
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- 文字数
- 21,399文字
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『404 ―存在しない恋人―』
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