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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

『KJ-017』〜ある探偵事務所から流出した、人を消す動画の記録〜

作者:桜田リコ
最新エピソード掲載日:2026/05/31
物語の舞台は、東京・吉祥寺の路地裏にある、築年数不明の雑居ビルに居を構える久世(くぜ)調査事務所。

所長の久世透は、デジタル機器を一切持たず、古いガラケーと紙の資料を愛用する、アナログな調査を信条とする探偵。

一方、助手の篠崎ミナは、18万人以上のフォロワーを持つSNSのエキスパートであり、ネットの深淵を監視する情報工作の専門家だ。

ある雨の日、友人が急に姿を消したという一人の女性が依頼に訪れる。

失踪した女性・三上葵は、消える直前まで「人間関係を整理する」という言葉を繰り返し、自身のSNSアカウントを次々と削除していた。

彼女が心酔していたのは、ネット上で急速に拡散している、ダークグリーンの髪が特徴の合成音声キャラクターが登場するメンタルケア動画だった。

動画の内容は、当初は「頑張りすぎなくていい」「自分を大切にしよう」という、現代人の疲れに寄り添う極めて真っ当な癒やしから始まる。

しかし、視聴を続けるうちに、そのメッセージは巧妙に『不要な他者の排除』や『孤立の肯定』へと変質していく。

久世とミナが調査を進めると、同様の失踪者が各地で続出していることが判明する。

失踪者たちは皆、同じ動画を浴びるように視聴し、やがて口を揃えて同じフレーズを使い始めていた。

『選ぶ』
『距離を置く』
『流されない』
『自分を守る』

この現象の真の恐怖は、動画が『命令』をしているのではないという点にある。視聴者は、動画の完璧すぎる『正論』に触れるうちに、『自分自身の意志で、孤独を選んだ』と骨の髄まで信じ込まされていくのだ。
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