水槽の中のシーグラス
最新エピソード掲載日:2026/03/31
静岡県の湖西市。
高校三年生の湊は、仕事ばかりの母親に代わり、認知症の祖母、小学生の双子の妹の世話をしているヤングケアラー。
自分の進路にも向き合えないそんな生活の中で、早朝に行うサーフィンだけが湊の一息をつける時間。
一つ年下の幼馴染の佳帆は、十八歳の誕生日を過ぎると、母親の臓器移植のドナーになる決意をしていた。
夏休みが始まってすぐ。
そんな佳帆に、湊はずっと好きだったと告白される。
「返事、考えといてね!」
そう言って先に帰った佳帆が、帰り道に交通事故に遭う。
それは、認知症で徘徊をしていた湊の祖母を庇っての事故だった。
一命は取り留めたものの四肢の自由を奪われた佳帆に、湊は罪悪感から彼氏になることを選択する。
水の中のような、息苦しい日々。先が見えない、病院と家の往復。
そんな時に、今まで見たことのなかった女性が佳帆の家に現れる。
それは、佳帆も知らない『姉』だった。
「私は臓器移植のために呼ばれた、種違いの姉」
そんな彼女に、湊は罪悪感を抱きながら惹かれていく。
未来が見えない湊。
現在に苦しみを抱く佳帆。
過去から逃れられない愛奈。
三人はひと夏の間に、親と子、過去と未来に向き合っていく。
「嫌いと愛してるって両立するのね」
「救わなくていい。知らなくていい。逃げていい。どこに行っていい。親なんて助けなくていい、誰の身代わりにならなくていい。きみは、きみだけのものだ」