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逃避行の先に、君はいない

作者:葉月羽音
最終エピソード掲載日:2026/05/20
 転校が決まった中学三年の夏。俺は逃げ出すことに決めた。
 逃げ場所なんてどこでもよかった。
 手離せない親友――啓輔の手を取って、遠く、遠くへ消えてしまいたかった。
 啓輔が連れて行ってくれたのは、雄大な海が広がる場所だった。

「僕は生きることそのものからも、逃げたいと思っているからね」

 寄る辺ない子供のような声が、静かに耳へ残る。
 言葉の意味を理解できないまま、子供だった俺は逃げることを諦めた。
 その結末が、啓輔の手を離すことだった。

 啓輔と別れてから数年後。
 俺の元へ一本の電話が届く。

 あの日と同じ、暑い夏の日。
 俺達が約束した再会は、親友の自殺という形で果たされることになる。

(他作品投稿サイトにて創作大賞に応募中)
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