↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

『美味しいゴハンは、心を元気にできるって、信じてる。』

作者:東曌
最新エピソード掲載日:2026/10/21
三年間付き合った恋人と、あっさり別れた。

矢崎ジュンコ、三十二歳。

恋愛感情なんて、とっくに薄れていた。結婚の話はいつも先送り。会うのも連絡するのも、いつの間にか惰性になっていた。

だから、別れを引き延ばす理由もなかった。

「女の三年は、長いんだよ」

そう言って電話を切ったジュンコは、冷蔵庫の餃子を焼くことにした。

餃子に罪はない。

そんなある日、亡くなった叔母の家を片づけていたジュンコは、一冊の手書きのレシピ帳を見つける。

そこには、パエリア、トマトのファルシェ、ほうれん草とサーモンのキッシュ、ウナ卵焼き、クワイご飯――作ったことのない料理が並んでいた。

パエリアのページには、叔母の字で一言。

「ジュンコちゃんが来たときに作ること。きっと喜ぶ」

「……作ってみようかな」

ところが、最初の難関は料理の腕前ではなかった。

サフランが、とんでもなく高いのである。

「……サフラン、高っ!」

こうしてジュンコの、週に一度の料理挑戦が始まった。

失敗もする。材料費に驚く。思いどおりにできない日もある。それでも、自分で作った料理は、案外おいしい。

親友と食べれば、なおさら楽しい。

叔母が残したレシピを頼りに、ジュンコは少しずつ、自分の好きな味を見つけていく。

失恋を乗り越えるための料理ではない。

誰かに好かれるための料理でもない。

食べたいから作る。おいしいから、また作る。

美味しいゴハンは、心を元気にするって、信じてる。

これは、三十二歳のジュンコが、おいしいものと新しい日常を手に入れていく、ちょっと騒がしくて、ちょっとお腹のすく物語。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。