田舎から出てきた元気すぎる令嬢、三日で王都中の人気者になってしまう ~陰口は、聞こえたその場でお返しします~
最新エピソード掲載日:2026/08/20
王都へ来て三日目の夜。大夜会の名簿から、わたしの名前が消えておりました。
ですので厨房口へ回って、前掛けを結んで、大広間でお皿を運びました。すれ違った洗濯場の十七人のお名前は、その晩には、ぜんぶ覚えておりました。
わたしはミレイユ・ド・ソレル。十八。北の辺境で、領民全員と名前で呼び合って育ちました。
王都の作法は、まだ習っておりません。
ですから、陰口が聞こえたら、振り向いてしまいます。
「え、聞こえてます! ここ、天井が高いので、もうちょっと大きい声でお願いします!」
大階段で足をかけられたら、掛けたご本人の腕を掴んで、一緒に踏みとどまってしまいます。
「危ないですよ!」
悪意が、一度も着地しないのです。
三日で、王宮じゅうの衛兵と給仕と松明番が、わたしの名を知っていました。門の外の人だかりまで、わたしを呼びます。
「辺境のお嬢さま!」「大声のお嬢さま!」
――名前では、ありません。
貴族の方々が隠したいことほど、掃除する人と、運ぶ人と、門に立つ人は、よく知っております。
いちばん最初にわたしを試したのは、婚約者候補の公爵令息でした。
わたしは、それを見ておりました。見ていて、どなたにも申し上げておりません。
あの方は、ご自分の靴をご覧になっています。
ひとつだけ、内緒にしていることがございます。
わたし、こわかったと気づくのに、いつも半日ほどかかるのです。
鈍いんです。
人の名前を覚えることと、声が大きいことだけが取り柄です!
ですので厨房口へ回って、前掛けを結んで、大広間でお皿を運びました。すれ違った洗濯場の十七人のお名前は、その晩には、ぜんぶ覚えておりました。
わたしはミレイユ・ド・ソレル。十八。北の辺境で、領民全員と名前で呼び合って育ちました。
王都の作法は、まだ習っておりません。
ですから、陰口が聞こえたら、振り向いてしまいます。
「え、聞こえてます! ここ、天井が高いので、もうちょっと大きい声でお願いします!」
大階段で足をかけられたら、掛けたご本人の腕を掴んで、一緒に踏みとどまってしまいます。
「危ないですよ!」
悪意が、一度も着地しないのです。
三日で、王宮じゅうの衛兵と給仕と松明番が、わたしの名を知っていました。門の外の人だかりまで、わたしを呼びます。
「辺境のお嬢さま!」「大声のお嬢さま!」
――名前では、ありません。
貴族の方々が隠したいことほど、掃除する人と、運ぶ人と、門に立つ人は、よく知っております。
いちばん最初にわたしを試したのは、婚約者候補の公爵令息でした。
わたしは、それを見ておりました。見ていて、どなたにも申し上げておりません。
あの方は、ご自分の靴をご覧になっています。
ひとつだけ、内緒にしていることがございます。
わたし、こわかったと気づくのに、いつも半日ほどかかるのです。
鈍いんです。
人の名前を覚えることと、声が大きいことだけが取り柄です!
1. 王都で最初に覚えたのは、門番の名前でした
2026/08/14 00:51
2. 陰口の作法は、まだ習っておりません
2026/08/14 10:50
3. 三日で、王都中の人気者になってしまいました
2026/08/15 09:32
4. 名を存じているだけであります
2026/08/15 15:30
5. 呼んだ名前の数だけ、こわいのです
2026/08/16 13:09
6. わたしが呼びましたので、わたしが謝ります
2026/08/17 22:36
7. 招かれておりませんので、外で覚えました
2026/08/20 00:21