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ねえ、知ってる?

作者:鈴太
最新エピソード掲載日:2026/08/31
「ねえ、灯。三十段目って知ってる?」

親友の何気ない一言から、すべては始まった。

宵ヶ丘市の駅前にある、二十九段の歩道橋。
午前零時ちょうどに一人で上ると、存在しないはずの三十段目が現れる。
そこで背後から名前を呼ばれても、決して振り返ってはいけない。
もし振り返れば、その人は誰からも忘れられ――最初から存在しなかったことになる。

そんなの、よくある都市伝説だ。

「でも、それって変じゃない?全員が忘れるなら、誰がこの噂を広めたの?」

そう笑っていた高校二年生の雨崎灯(あめざき あかり)は、親友の白雲紬(しらくも つむぎ)とともに、軽い気持ちで噂を確かめに行く。

午前零時。
二十九段目を上った灯の足が踏んだのは、そこにあるはずのない三十段目だった。

そして背後から、知らない女の声がする。

「――雨崎さん」

その夜を境に、灯の日常には奇妙な噂が入り込み始める。

鏡越しにしか見えない女子生徒。
存在しない四階に止まるエレベーター。
午前二時に、死者の名前を読み上げる校内放送。
最終電車のあとにだけ現れる、存在しないホーム。

調べていくうちに、灯は一つの事実に気づく。

ネットに書かれた怪談と、古い記録に残された怪談では――「ルール」が違っている。

噂は変わる。
語る人が増えるたびに、少しずつ形を変えていく。

そしてどうやら、怪異の方も。

これは、都市伝説の多い街・宵ヶ丘で、怪異に「顔を覚えられてしまった」少女たちが、噂の向こう側に隠された真実を辿っていく物語。

ただし、一つだけ覚えておいてほしい。

もしあなたが、この物語で知った怪談を誰かに話すのなら――

その噂が、明日も同じルールだとは限らない。
第一章「三十段目」
第1話:はじまり
2026/08/30 04:57
第3話:昨日のこと
2026/08/30 17:29
第4話:三回目
2026/08/30 18:46
第5話:名前を呼ぶモノ
2026/08/30 19:15
第二章「あの子はだあれ」
第7話:近づく距離
2026/08/31 18:38
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