予算がないので、無理はしません ~【発注】しかできない元社畜が、赤字の辺境村を三国最強にするまで~
最新エピソード掲載日:2026/09/07
紹介文(約620文字)
「大野くん、これ明日までね。予算? なんとかしてよ、いつもみたいに」
十二年間、無茶な発注を通し続けた購買部の大野誠(35)は、その一言で壊れた。
終電。隣に座った芋ジャージの女が、缶ビール片手に言う。
「人生やり直してみる?」
気づけば異世界。渡されたユニークスキルは【発注】。
発注書に書いた物が、地球から届く。
ただし代金は実費。
そして――村の金庫が赤字なら、一円も発注できない。
三国の緩衝地帯にある、潰れかけのポポロ村。
村長は月兎族の少女。財務担当は算盤を抱えた猫。自警団は装備を自腹で買っていた。
そして帳簿は、真っ赤だった。
「聖剣は出せません。予算がないので」
誠が発注したのは、軍手。安全靴。保冷剤。ヘルメット。輪ゴム。
地味で、安くて、確実に人が死ななくなる物ばかりだった。
弁当が売れる。金が回る。装備が揃う。誰も死ななくなる。
黒字が増えた分だけ、発注できる物が増えていく。
無理はしない。予算のない仕事は受けない。責任者のいない案件は通さない。
壊れた男が引いたその線は、いつのまにか村を守る壁になっていた。
「暴力は、だめですよ」
包丁が凍りついてロングソードに変わる音が響くのは、いつも誠が予算を組み終えた後だ。
――気づけば、三国の兵士が列を作る村になっていた。
これは何も斬れない元社畜が、帳簿と発注書だけで辺境の村を最強にしていく物語。
「大野くん、これ明日までね。予算? なんとかしてよ、いつもみたいに」
十二年間、無茶な発注を通し続けた購買部の大野誠(35)は、その一言で壊れた。
終電。隣に座った芋ジャージの女が、缶ビール片手に言う。
「人生やり直してみる?」
気づけば異世界。渡されたユニークスキルは【発注】。
発注書に書いた物が、地球から届く。
ただし代金は実費。
そして――村の金庫が赤字なら、一円も発注できない。
三国の緩衝地帯にある、潰れかけのポポロ村。
村長は月兎族の少女。財務担当は算盤を抱えた猫。自警団は装備を自腹で買っていた。
そして帳簿は、真っ赤だった。
「聖剣は出せません。予算がないので」
誠が発注したのは、軍手。安全靴。保冷剤。ヘルメット。輪ゴム。
地味で、安くて、確実に人が死ななくなる物ばかりだった。
弁当が売れる。金が回る。装備が揃う。誰も死ななくなる。
黒字が増えた分だけ、発注できる物が増えていく。
無理はしない。予算のない仕事は受けない。責任者のいない案件は通さない。
壊れた男が引いたその線は、いつのまにか村を守る壁になっていた。
「暴力は、だめですよ」
包丁が凍りついてロングソードに変わる音が響くのは、いつも誠が予算を組み終えた後だ。
――気づけば、三国の兵士が列を作る村になっていた。
これは何も斬れない元社畜が、帳簿と発注書だけで辺境の村を最強にしていく物語。